むやみに接してくれ
MZ世代ながら、朝鮮時代の生活様式を守って暮らす特別自治区ソンサン村で、ウリムシン氏28代目宗孫であり村の首長の孫、仁義礼智「礼儀作法が人を作る」が信条の、現代に生きる儒教ボーイ、シン・ユンボクと、中小デザイン会社ロシ・ファッションの最下層、デザイナー補助としてムスリ(宮中の下働きの奴婢)のごとくこき使われながらも、世界のハイファッションブランド・カミーユのデザイナーを夢見ながら逞しく生きる、直進女キム・ボンド。
実は、7年前、高校生ユンボクが家出をしてウェブトゥーン塾で教わった師匠様がボンドであり、盗まれた文化財返還スペシャリストとなっていたユンボクが、精巧な偽物を作る文化財泥棒カムッチョギ(감쪽이/そっくり・痕跡がないの意)を追ってソウルに上京、ホンドと再会した所から動き出す物語。
君師父一体(군사부 일체/主君・師匠・父の恩恵は同じの意)の儒教思想から、敬うべき師匠様に対して頑なに鉄壁を守ろうとするユンボクのディフェンスと、直進しか知らないボンドの攻防が爆笑を誘う。
だが、辛い度、惨めになる度に、ただ一人ホンドの前にボディガードのように現れるユンボク。
ユンボクにもまた、かつて自分を変えてくれたホンドはカッコ良くて尊い師匠様だったのだ。
業界の最下層にいたボンドだが、ユンボクとの再会で、
かつていじめに合っていたユンボクに伝えた言葉がユンボクに勇気を与えたように、同じ言葉をユンボクから伝えられたボンドは、勇気を持って立ち向かうと、職を追われる危機に瀕するが、その直後夢が現実となる奇跡が起こる。
こうして、雲の上のような存在であった師匠様と、弟子ユンボクの距離は少しずつ縮まっていく。
お話が進むにつれ、ユンボクの家出に隠された悲しい過去と、ユンボクが心を閉ざして生きてきた理由が明らかになっていき、逞しい直進女ボンドにも、少女家長として弟と生きてきた辛い過去が隠されていた。
出演陣の見事なタッグで、随所に愉快な笑いがいっぱい、胸のすくユンボクのカッコいいアクションシーンも見どころ!
キャストそれぞれの人生が絡み合い、いつだって互いを大切に思う暖かさに触れる事が出来る。
胸を締め付けられる切なさ、痛みと別れも描かれるけれど、
全編に流れているのは、言葉だけでない人の温もり・温かさかもしれない。
ひっそりと、時には自分を犠牲にしても、相手を大切に思う心が行動になる。
KBSドラマ制作意図より
「仁、義、礼、知」を備えた高貴で尊厳ある人間性を持った主人公が見たかった。
人に対して温かく、義理堅い心を持った「朝鮮のジェントルマン」。
誰もぞんざいに扱わない、「ソンビ」。
<함부로 대해줘>は、
礼儀作法を命のように思っているMZソンビ、シン·ユンボクが
誰にでもぞんざいに扱われる 社会最弱のキム·ホンドに出会って繰り広げる、
非常に礼儀正しく暖かいロマンスの成長記だ。
現代と朝鮮時代、ファッションとソンサン村を行き来しながら
爆笑×切なさ、甘い×しょっぱいが繰り返されて病みつきになる
最後まで制作意図を守った素敵なハートフルコメディードラマでした。
少ない文字数で表現される日本語字幕版で、ゾンビユンボクが表現されていたのは流石です。覚悟はしていましたが、省かれるセリフ、カットされたシーンも多々あり、是非ノーカット版でDVD化される事を切に願います。