公開日 2023/06/02 13:35
変更日 2024/08/02 10:40
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不幸続きのどん底ヒロインと、心に傷を抱えた人見知りの青年。 生きることに不器用な2人が海辺の町で見つけた、本当の幸せとは――? 「なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~」リフレッシュ&リラックスのヒントが詰まった、ドラマの魅力に迫るコラムが到着!
「ミセン-未生-」のイム・シワンと「昼と夜」のキム・ソリョンが初共演!さらに、「コーヒープリンス1号店」「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」のイ・ユンジョンが演出を手がけたヒーリングドラマ「なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~」。
ソウルを離れて“人生の夏休み”を満喫するヒロインが、海辺の町で司書として働く心優しい癒し系男子と出会い、ささやかながらかけがえのない時間を重ねていく。お互いの傷を癒し合い、新たな生き方を模索する2人の姿から、心と体をひと休みさせるヒントがきっと見つかるはず!
ソウルの大手出版社に入社して5年目のヨルム(キム・ソリョン扮)は、真面目でがんばり屋さん。でも、残念ながら上司に恵まれず、チーム長や代理にこきつかわれて、手柄を奪われる毎日を送っている。そのうえ、ひそかに結婚を期待していた大学時代からの恋人も、いちばんそばにいてほしいときに別れを告げられてしまう。
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しばらくは魂が抜けたようだったヨルムだが、会社を辞めて旅に出ることを決意。リュック一つで訪れた海辺の町、アンゴクで新しい生活をスタートする。よそ者のヨルムを誰もがすぐに受け入れてくれたわけではなかったが、初めて出会った瞬間から、さりげなく手をさしのべてくれたのが司書の青年デボム(イム・シワン扮)だった。
ヨルムは偶然発見したアンゴク図書館にふらりと入り、デボムに不動産屋の場所を尋ねる。デボムは後ろから「おねえさん」と話しかけられて振り返るが、人見知りが激しすぎるせいでひたすら無言……。気まずくなったヨルムは平謝りしながら、そっと図書館を去っていく。デボムは不動産屋の位置を書いたメモを渡そうとして外に出てくるが、ヨルムが小学生たちに頼まれて蹴ったサッカーボールが顔面に直撃し、思い切りしりもちをついてしまう。
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決してカッコいい登場とは言えないが、そんな状況でも必死でヨルムにメモを手渡すところにデボムの人柄のよさがにじみ出ている。小学生たちから「デボム、遊ぼう」と呼び捨てにされ、転んだあとは「しっかりしろ。大丈夫か?」と心配されるなど、かわいいシーンもいっぱい。心優しい彼がこの町でいろいろな人に愛されていることが伝わってくる。
その後も一人で酔い潰れたヨルムを図書館に泊めてあげたり、落とし物を回収してあげたりと、何かとヨルムを助けるデボム。都会でひどい仕打ちを受けていたヨルムに訪れた、奇跡のような素敵な出会いに心がほっこり温まる。
いつも穏やかな微笑みを浮かべ、困っている人をさりげなく手助けするデボム。図書館で一緒に働く先輩のジヨン(パク・イェヨン扮)とは気兼ねなく話せるが、基本的にはかなり口数が少ない。あまりにも物静かなので、地元の青年会副会長から「人は寂しいと死ぬそうだ。恋人をつくれ。見た目はいいのに」とおせっかいなアドバイスをされてしまうほど。
ある日、デボムはヨルムが買ってきたアイスクリームを一緒に食べることになるが、あまり好きなフレーバーではなかった様子。微笑みつつも曖昧な表情でアイスを見つめ、好きな種類を聞かれると「アイスはおいしいと思うけど、リンゴ味は……」と言いづらそうに答えて、ヨルムに「無理に答えなくてもいいです」とさえぎられる。
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韓国映画『スマホを落としただけなのに』や『非常宣言』などではサイコパスに扮した実力派のイム・シワンだが、口ベタな青年というキャラクターもかなりの当たり役!おっとりしたテンポが魅力的で、無言のシーンも表情を見ているだけで心の中の声が聞こえてきそうだ。
ヨルムからもらった鉢植えに添えられていたメモを大切そうに引き出しにしまい、彼女が図書館にやってくる時間帯をひそかに把握しているところもキュート。酔っていた間の記憶がまったくないヨルムに、「歌ってました」とワンフレーズ歌ってみせて恥ずかしがらせるなど、いたずらっぽい一面も。
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その後、ヨルムはジヨンに「地元のお年寄りを取材する仕事をしてほしい」と頼まれて辞退しようとするが、デボムに“歌っていたことをバラす”と言わんばかりのかわいらしい脅しに負けて、やむなくOKしてしまう(イム・シワンはアイドルグループZE:Aのボーカルだが、歌うシーンもかなり控えめでデボムらしさ全開!)。
出会って間もないにもかかわらず、ヨルムにはすんなり心を開くことができたデボムだが、取材先でおばあさんに「2人は夫婦かい?」「一緒になればお似合いなのに」と言われると、とたんに固まってしまう。不器用ながらまっすぐなデボムと情に厚くて明るいヨルムのやりとりに好感を抱かずにはいられない。
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毎朝決まった時間に海沿いをジョギングしているデボム。ヨルムもそんなデボムに影響されて、ジョギングに初挑戦する。アンゴクに来たばかりの頃は映画を観たり、お酒を飲んだりしながら好きなだけ夜ふかしをしていた彼女は、早起きをしてデボムと一緒に走ることに。デボムは初心者でも走りやすい短めのジョギングコースを考え、スニーカーをプレゼントしてヨルムを応援する。
規則正しい生活を続け、体調管理を徹底しているデボムだが、ときには息抜きをすることも。ヨルムとの初めて2人きりで出かけることになったときは、お酒好きの彼女のためにビールとチキンのおいしい店をリサーチする。「組み合わせを考えた人に賞をあげたいくらい」とヨルムが語るように、チメク(チキン+メクチュ〔ビール〕)は韓国で大人気の飲み会メニューだ。
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お酒も入っていつもより饒舌になったデボムは、ヨルムに好きな季節を聞かれて「ヨルム(韓国語で“夏”の意」と答え、思わず赤面。どこまでもシャイな性格だが、彼なりのスピードでヨルムとの距離を縮めていく。
ある理由によってソウルに滞在することになると、デボムは人生初の携帯電話を購入。ヨルムに初めての携帯メールを送り、顔文字の使い方もマスターして、朝までチャットを楽しむ。まだお互いに敬語を使っている2人が、他愛もない会話を交わしながら夜を明かす様子が微笑ましい!
ジョギングにすっかりハマったとヨルムは、自分が本当にそのことを好きなのかどうかを判断する方法がある、とデボムに話す。それは「私は無人島に行ってもこれをやるかどうか?」を自分自身に聞いてみるという方法。天才少年として幼い頃から注目を浴び、物理学者として活躍が期待されていたデボムは、ヨルムの言葉をヒントに本当に自分がやりたいことについて改めて考えはじめる。
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一方、ヨルムはいつも落ち着いているデボムに「腹が立たないのか、それとも我慢しているのか」を尋ねる。「人は人、僕は僕。そう考えるんです。僕自身のために」という答えを聞いて、「私とは次元が違う」と感心するヨルム。まだ知り合ったばかりで共通点も少なそうに見えるヨルムとデボムだが、こんなふうに人生に役立つちょっとしたマイルールを教え合うことが多い。
ふだん見落としがちな小さな幸せや美しい景色、癒しのヒントがぎゅっと詰まったドラマ「なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~」。デボムとヨルムの何気ない会話を楽しみながら、毎日を元気に過ごすためのマインドや習慣を探してみては?
(ライター&韓日翻訳者藤田麗子)
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