公開日 2023/03/29 20:30
変更日 2024/06/20 16:27
韓国番組MCと言えば、この人!韓流ナビゲータ-の田代親世さんが送る、 深い愛と視点に基いた独自考察の連載がスタート! K-board読者なら共感間違いなし⁉
私は王子が出てくるドラマが大好き。
王子と言えば、時代劇の文字通りの皇子、世子はもちろん、
現代劇においては、財閥の御曹司。
もしくは、大会社の2世とか、
とにかくヒロインの女性よりもワンランクも2ランクも上で、
条件として必須なのは、お金、権力、地位、肩書き、名誉。
華々しい経歴や、輝かしい才能を持っているのでもいいのですが、
とにかく彼のひと言で物事を動かせる権力や影響力があるかどうかが重要です。
だから、どんなに彼がやさしくて、いつも助けてくれるとしても、
ガテン系や三流ボクサーだったり、ボディーガードといった職業的な人だったり、
等身大の好青年レベルでは、個人的には「王子」とは呼びません。
ということで、そうした条件以外にも、
韓国ドラマにおける王子はやっぱりこうでなくっちゃね、
という私なりの定義をあげてみます。
こっぱずかしいことを照れずにやってしまったり、
クサいセリフも平気で言えちゃうようなキザさがあってほしいです。
育ちのいい人ならではの自信と余裕があって、
身分の高さゆえ、どんなに「えっ?」と思うことを言っても
決して笑われたりバカにされない環境にずっといるから、
自分が恥ずかしいことを言っていることに気づきません。
だからうぬぼれ発言も堂々と繰り出されるのが王子なのです。
『キム秘書はいったいなぜ?』で
パク・ソジュンが演じていた副会長がその良い例です。
キム秘書に朝の身支度をしてもらいながら発する一言。
「まぶしいだろう?」「光がですか?」「いや、俺から出ているオーラ!」
と平気で言えちゃうのも、
キム秘書が内心は「また自己愛が強くていらっしゃる~」とあきれていても
そんなことはおくびにも出さず
「ええ、まぶしいです」とサラリと承認してあげているからです。
ヒロインが困っているときに、
絶妙のタイミングで颯爽と現れるのが王子です。
三角関係のドラマでも、
二番手は残念ながら一足遅くて恋に破れてしまいます。
『恋のスケッチ~応答せよ1988~』は、
まさに、ここぞというときのタイミングが恋の勝負の明暗を分けていました。
単に時間的に間に合ったというだけでなく、
自分の大切なものをあきらめてでもヒロインを助けに行く
という心意気が王子度を輝かせます。
財力を駆使するのでも、体を張るのでもいいんですが、
とにかくヒロインをひたすら守ってほしいです。
王子はたいてい、苦境に立たされた女性か、
もともとが負の条件を持っている女性を好きになるようになっています(笑)。
なので、おのずと彼女の前に立ちはだかる障害や敵から
身を挺して守ることになります。
『愛の不時着』では、それこそ、
北朝鮮に迷い込んでしまったヒロインのセリが
無事に韓国に戻れるように物心ともに助け、
あげくに彼女を害そうとする銃弾をも
代わりに身に受けてしまうほどの献身で、彼女を守り切りました。
これぞ、王子です!
リ大尉は軍人なので見過ごされがちですが、
国の大幹部の父親を持つれっきとした特別待遇の王子キャラでした。
時代劇でも、『雲が描いた月明かり』は、
パク・ボゴム演じる世子が、池に落ちたヒロインを思わず飛び込んで助けたり、
手籠めにされそうなところに突入して阻止したり、
とにかく男装のヒロインがいつも
何かやらかしたり、苦境に立たされたりするので、
そのたびに命がけで助けるという構図のドラマでした。
また、こんな危険な状況でないにしろ、
王子の恋愛はほぼ親や周囲に反対されるので、
それに敢然と立ち向かいます。
『イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~』も、
塾の大人気トップ講師で、「一兆の男」との異名を持つ男性主人公が
総菜屋の店長に恋をして、
女の方が誘惑したんだと彼女が世間にバッシングされると、
公の席で
「彼女は僕なんかより素晴らしくて、キラキラ輝いている人です。僕の片想いなので、彼女を責めないで」
とかばってあげていて、
これぞ王子の振る舞いでした。
これはもう定番の王子あるあるのシーンです。
古くは『美しき日々』のイ・ビョンホンが
チェ・ジウをパーティに連れていくために、
何も言わずに強引に連れ出して洋服からヘアメイクまで一式やってあげていました。
『パリの恋人』でも、
ヒロインに服をとっかえひっかえ着替えさせて
「それはダメだ」とえらそうに口を出したりしながら(笑)、
最後はきれいに装った彼女とふたりでダンスをします。
あまりにも定番なので、王子が出てきたなら、このシーンがないと寂しかったりします。
育ちが良く、しかもクールでデキる王子は、
普段は焦ったり走ったりということはあまりありません。
でも、ヒロインに何かあった時には、我を忘れて行動してほしいのです。
ヒロインの居場所がどこであれ探し出して駆けつける。これは外せません。
彼女を助けるためだったり、彼女の誤解を解くためだったり、
とにかく走って現れなきゃダメなのです!(笑)。
『冬のソナタ』でもチェ・ジウが
「今、ここがどこだかわからないんです」と言っているのに、
ミニョンは彼女のもとに駆けつけます。
そのとき少し息を切らしているのもポイント(笑)。
もう必死に探して来たってことがわかります。
さりげなく息を切らせていて「やっと見つけたよ、君を」みたいな感じになって、
感動してふたりは抱き合うわけです。
『バベル~愛と復讐の螺旋(らせん)~』では、
パク・シフ扮する復讐を胸に秘めたクールな検事が、
自分の愛する女性に何かあったのではと察知すると、
息せき切って駆けつけちゃうことも一度や二度ではありませんでした。
というか毎話に一回は彼女のために走っていたかもしれません。
このときの、スーツの上着が翻るほどの勢いで必死になっている姿がツボなのですが、
こうしたサマは、
まるで呪いによっていばらの城に閉じ込められた姫を必死に救い出そうと戦う
凛々しき王子のようでした。
恋のために走る、
愛のためにはとことん必死になる、
これはかなりの王子ポイントです。
これら以外にも王子だよねと思わせる定番シーンがありますが、
それらも含めて、王子の条件が全て網羅されているのが
『社内お見合い』のアン・ヒョソプ演じるカン・テム社長でした。
ヒロインを好きになったと自覚した途端にプロポーズ作戦を試みようとする社長に、
秘書が「ちょっと急ぎすぎでは?」と言うのですが、
「僕を拒む女などいない」とゆるぎない自信をみなぎらせていましたし、
彼女に向かって
「反則ですよ、可愛くて僕をドキドキさせてる」
とこそばゆいセリフもサラリと言えちゃいます。
ヒロインが友達に本当に彼氏がいるのか疑われた時に、
タイミングよく現れて
「僕が彼女の恋人です」と恋人役をしてあげて
彼女のプライドを守ってあげていました。
また、脱げてしまった彼女の靴をひざまずいてはかせてあげていましたし、
高級ブティックで何着も着替えさせて服を買ってあげていました。
そして、彼女に何かあったのではないかと慌てて探し回り、
息を切らせながら駆けつけてもいましたし、
彼女の喜ぶ顔が見たくて、
彼女が食べたがっていた名物ハンバーガーの屋台を
海辺にこっそり呼び寄せたり、
映画館を貸し切ってみたりとサプライズプレゼントもいっぱい!
こんな風に
サラりと財力を使って彼女を喜ばせることができるのも王子ならではなので、
カン・テム社長は、これぞ、世の女子が求める王子像を全て兼ね備えていたのでした。
最近は等身大のロマンスにシフトしているのか、
こういったド定番の王子ドラマが少ないので、
王子好きとしては本当にありがたい作品でした。
もっとたくさんの王子ドラマに登場してきてもらいたいです。
どんなにベタと言われようとも、
王子ドラマは乙女たちを夢中にさせるのですから!
<著者からのお知らせ>
◆4/23(日曜)韓流サロン【どの配信で何を観る?】をやります。
<時間>午前11時 ~13時30分終了予定
◆6/24(土)午後13~14:30 よみうりカルチャー北千住にて
「ここが楽しい!韓国ミュージカル」講座を開講!
田代親世
韓流番組のMC、ドラマ・ミュージカル解説をはじめ、
韓流イベントの司会など、韓国エンタメナビゲートの第一人者。
『韓国ドラマが教えてくれる心が強くなる40の言葉』(中経文庫)『今日も韓国ミュージカル日和 ♪』(双葉社)など著書多数。