公開日 2022/06/22 21:00
変更日 2024/06/21 10:22
音楽フェス
K-POPとJ-POPの違いは何でしょうか?本記事では専門的な部分にも触れていますが、音楽初心者も分かりやすくまとめました。元CD販売員でK-POPもJ-POPの販売も手掛けた経験のある筆者が、両者の違いについて取り上げます。【2023年4月26日更新】
日本・韓国 両国旗
J-POPとK-POPの違いは、日本の音楽か韓国の音楽かの違いです。今更説明されなくてもわかりきった回答ですが、両者の違いを語る上で欠かせません。
日本か韓国かは置いといて、音楽は国の文化・風習・価値観が大きく反映されるもの。アフリカの音楽はリズミカルな傾向にありますが、血気盛んなアフリカの気質がハッキリしています。北欧の音楽はゆったりしているのは、北欧の方々独自のマイペースっぷりが見て取れるでしょう。
J-POPとK-POPも同じです。
K-POPの場合は最初から世界進出を狙っているため、世界に合う音楽を目指しています。曲調は海外にも受けるようにアメリカン・ポップやヒップホップを取り入れ、インパクトをつけています。
J-POPの場合は音楽の”世界観”を重視し、世界進出は二の次。世界に合うかどうかは関係なく、自分達が表現したい音楽を実現させています。
勘違いして頂きたくないのは、K-POPもJ-POPも国籍は全く関係がないということです。少し難しい話になりますが、国と国籍は違います。
K-POPには韓国人、J-POPには日本人が、多く携わっているのは事実。しかし現在はありとあらゆる国籍の方が、K-POP・J-POPに多数携わっています。
K-POPの場合、日本・中国・アメリカ・香港・タイと国際色豊か。J-POPにおいても、韓国人アーティストは多数活動中。また、宇多田ヒカルやAIのようなアメリカ国籍もいらっしゃいます。他にもオーストラリア・カナダ・中国と国際色豊か。
音楽に国境はないのです。
J-POPとK-POPは、歩んできた歴史が違います。 音楽の歴史については、日本も韓国も有史の頃から存在していました。しかし有史から掘り下げると、きりがありません。
そこで「POP」という言葉が定着した80年代~90年代に焦点を当てて、両者の歴史の違いについてまとめます。時代は限定されますが、J-POPとK-POPの違いはハッキリ出ています。
松任谷由実ことユーミンは、J-WAVEでよくオンエアされていました。
J-POPが誕生したのは、80年代後半~90年代前半の頃。FMラジオ「J-wave」が発端となっています。ただし当時は日本のポップソングを相称したものではなく、J-WAVEで流れる日本の曲を「J-POP」と呼んでいました。
そもそもJ-WAVEで流す曲の多くは、洋楽がメイン。邦楽は全くのゼロではなかったものの、滅多にない事です。そこでJ-WEVEで流れた邦楽を「J-POP」と定義してオンエア。当時「J-POP」として流れた音楽には、松任谷由実・佐野元春・サザンオールスターズと、現在も活躍のアーティスト達です。
90年代になると「日本のポップ音楽」を総称して「J-POP」と呼ばれるようになり、全国へと広がりました。
K-POPの歴史はソテジワアイドゥルから始まった!
K-POPが登場したのも、J-POPとほぼ同時期とみて良いでしょう。起爆剤となったのが、ソウルオリンピックでした。オリンピック以降、韓国で聞いたことがない音楽」が次々と生まれました。
転機となったのは、1991年結成の男性グループ「ソテジワアイドゥル」でしょう。40代以上の方であれば昔懐かしく感じる曲ですが、当時の韓国にとっては衝撃も衝撃。ヒップホップとR&Bテイストを取り入れた楽曲は、現在のK-POPにも引き継がれているほど。
BTSもソティワアイドゥルの曲をカバーしているので、K-POPに与えた影響の大きさが見て取れます。
オーディション番組で魅せた、IZ*ONEのパフォーマンス
K-POPでもJ-POPでも必ず通るのがデビューでしょう。どちらもアーティストによりけりですが、K-POPの場合はオーディション番組でデビューする傾向にあります。2018年~2021年まで活動したIZ*ONEは、オーディション番組「PRODUCE 48」からのデビューしました。
オーディション番組では、ダイヤの原石達が多数登場。原石達が努力して大スターになる姿を通して、ファンを虜にしていくのです。
一方でJ-POPの場合、デビューのきっかけは多種多様。K-POPのようにオーディション番組から、スカウトがきっかけでデビューした人もいます。他にもインディーズからメジャーへの移行、最近はネットから火がついてのデビューも少なくありません。
「江南スタイル」はyoutubeがきっかけで大ヒット!
インターネットの力の入れ具合に関しては、K-POPは凄まじいです。いわゆる「ヒット曲」のであれば、youtubeにアップされています。アップされていないK-POPヒット曲を探す方が、逆に難しいかもしれません。
ネットに力を入れるようになったのは、世界的にヒットした「江南スタイル」の影響が大きいでしょう。MVがyoutubeで公開されると、世界中で話題となりました。動画の再生回数は、2023年4月時点で47億回と驚異的。
一方でJ-POPの場合、K-POPと比べるとネットの力の入れようは、まだまだ消極的。King Gnuのように、ネットに積極的に乗り込んでいるJ-POPアーティストもいらっしゃいますが、かなり珍しい部類と見て良いでしょう。
多くのJ-POPの場合、CDを購入しなければ聞けないのが現状となっています。2023年4月時点においても、youtubeで曲を流している公式J-POPチャンネルは、まだまだ少ないです。
TWICEの「TT」日本語バージョン。
TWICEの「TT」韓国語バージョン。
J-POPとK-POPの違いは言葉です。
J-POPは日本語で作詞作曲され日本語で歌い、K-POPは韓国語で作詞作曲され韓国語で歌います。「今更言われても」と思われるでしょうが、かなり重要です。
日本語は言葉同士を繋げる言語で、韓国語はメリハリのある言語が特徴。日本語と韓国語では言葉が違うので、仮に同じメロディで歌っても印象は大きく変わるのです。
TWICEのヒット曲「TT」でも、日本語と韓国語で違いがハッキリハッキリ出ています。
の日本語と韓国語の2種類バージョンでも、違いは明らか。 日本語版では可愛い女の子、韓国語版では強い女性の印象です。
K-POPの歌詞はシンプルで挑発的になる傾向にありますが、J-POPの歌詞は複雑になっています。
K-POPもJ-POPも恋愛ソングが多いです。K-POPの場合は「決め台詞」ならぬ「決めフレーズ」を持ってきて、インパクトをつけていきます。LE SSERAFIMの「ANTIFRAGILE」は良い例で、最初にタイトル「ANTIFRAGILE」をリズミカルに歌ってインパクトを付けた後に、物語を展開。
一方でJ-POPの場合は、詩的な歌詞が多いです。K-POPのような「決めフレーズ」はほとんど聞かれないものの、独特の世界観を持っている歌が多い傾向にあります。