公開日 2023/03/26 19:30
変更日 2024/06/20 14:33
2020年で活動休止した「嵐」の余韻は、今もまだ続いている。日本や韓国だけでなく、広く世界で注目されたこのスーパーグループの“夢の続き”とは。「イケメンと映画」についての考察を続ける筆者・加賀谷健が読み解く。
韓国にとどまらず、「嵐」の名前が世界へ一気に躍り出たのは、活動休止のカウントダウンが刻々迫る最中だった。活動休止前に様々なかたちでサプライズを企画した中、最大投下となったのが、「Whenever You Call」のリリース(2020年9月18日)である。
同曲を嵐に提供したのは、世界の音楽シーンの王座に君臨するブルーノ・マーズだった。企画段階で松本潤の口からブルーノの名前が出たのだが、それがまさか実現することになるとは。活動休止後の今、改めて考えてみても、リーダーの大野智が「無理だろう」と正直に感じたように、それは夢のようなサプライズ企画ではなかったか。
「Whenever You Call」は、歌詞がすべて英語詞で書かれている。嵐メンバーにとっても大きな挑戦だったが、それをものともせず堂々と歌い上げた。嵐の大団円としてこれ以上は求められない出来栄えのサウンド。コーラス(サビ)前、二宮和也(2007年に韓国映画のリメイクドラマ『マラソン』に主演した頃が懐かしい!)が力強い美声で歌いこむ「There’s nothing in this world that could stand in my way」を聴いた瞬間、ああこの人はR&Bもこんなに色っぽく歌えるんだなと感心しながら、思わず聴き惚れてしまった。R&B的な才能なら、ソロ曲「Hit the floor」(2013年)をリリースした大野智の歌唱にも圧倒される。そればかりか、2番の相葉雅紀パートなんて、これはもう涙なしでは聴いていられない。
それから忘れてはいけないのは、Dマイル(ダーンスト・エミルⅡ)がブルーノとの共作者であること。ブルーノがアンダーソン・パークと組む「シルク・ソニック」のプロデュース楽曲だけでなく、近年のR&Bヒットナンバーの多くを手掛けている大プロデューサーだ。ブルーノは製作にあたって、Dマイルと一緒に嵐の曲を聴き漁ったというから、力の入れようも感じる。あるいは、この夢のような共作チームが、嵐の活動休止を知った上でライブでもし聴くならこれだと思って製作したのが、この会心のミッドバラードだと聞けばこそ、楽曲への理解は深まる。