公開日 2023/04/08 19:30
変更日 2024/06/20 14:33
Leslie Cheung Kwok-wing in the Wong Kar-wai 1990 movie \"Days of Being Wild\". (Photo by MICHAEL TSUI/South China Morning Post via Getty Images)
2003年4月1日。香港映画の大スター、レスリー・チャンが換気のために唯一開いていたホテルの窓から飛び降りた。その日から丸20年の月日が流れた。レスリーを代表する名作の韓国リメイク作品の日本版主題歌「a better tomorrow」を聴いて今、想うこと。
「a better tomorrow」は、CHEMISTRYが2011年2月16日にリリースした31thシングルのタイトルトラックだ。先行するかたちでリリースされた『Keep Your Love』(2010年11月3日リリース)には、同曲をハングルで歌うバージョンのトラックが収録されている。
この曲は、ジョン・ウー監督作『男たちの挽歌』(1986年)の韓国リメイク『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』(2010年、以下、『A BETTER TOMORROW』)の日本版主題歌である。脱北者である兄弟が再会し、兄のヒョク(チュ・ジンモ)がヤクザの顔役、弟のチョル(キム・ガンウ)は刑事になる。暗黒街と正義の間で葛藤する兄弟愛は、ウー監督が製作総指揮を務める本作でも、男同士の熱い絆として結ばれる。
主演のふたりがなかなかの好演ぶり。チュ・ジンモが義侠心を全身で体現し、キム・ガンウも警察組織の中でもがく若き刑事を体当たりで演じこむ。ラストの銃撃戦は、オリジナルに劣らず圧巻だ。捨て身の覚悟で弟を守ろうとする兄の姿が熱く燃え尽きる。ウー監督同様に、香港映画の黄金期を牽引したジョニー・トー監督作『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2012年)の韓国版『毒戦 BELIEVER』(2018年)など、香港映画の韓国リメイクに秀作は多いが、『A BETTER TOMORROW』は、韓国映画らしい聡明な画面内に香港映画のむさ苦しい精神がちゃんと息をしている。そして、日本公開版で流れるCHEMISTRYの主題歌もまた映画的なエモーションをチャージする。