公開日 2023/04/08 19:30
変更日 2024/06/20 14:33
Leslie Cheung Kwok-wing in the Wong Kar-wai 1990 movie \"Days of Being Wild\". (Photo by MICHAEL TSUI/South China Morning Post via Getty Images)
2003年4月1日。香港映画の大スター、レスリー・チャンが換気のために唯一開いていたホテルの窓から飛び降りた。その日から丸20年の月日が流れた。レスリーを代表する名作の韓国リメイク作品の日本版主題歌「a better tomorrow」を聴いて今、想うこと。
2002年、日韓共同で開催されたFIFAワールドカップの公式テーマソング「Let’s Get Together Now」は、同大会のために結成された「Voices Of KOREA/JAPAN」によるシングル。作詞とプロデュースは日本のR &Bシーンには欠かせない松尾潔(何を隠そう、CHEMISTRYの生みの親!)、作曲は川口大輔が担当。CHEMISTRYは、このグループのメンバーとして参加している。韓国からはスウィートなR&B歌い「ブラウン・アイズ」が声を重ねるのもたまらない。
しかし当時の韓国はまだ日本語曲が制限されていた時代。そんな時代性での異例の共同開催で、日韓のグループがひとつの音楽的な時間を共有したことの意義は大きい。まさに日韓の橋渡しとなったCHEMISTRYの歌唱には、だからこその説得力がある。
「a better tomorrow」のサビ終わり、トラックタイトルがファルセットで柔らかに響く。タイトルの意味は、「明日があるさ」くらいの意味合い。手放しに楽天的なわけではないが、過酷な現実の中でさえ、わずかだけれど爽やかな光を明日に見る。単なる美しいバラード曲の域を越え、そこからさらに韓国リメイクからオリジナルの香港映画に思いを馳せると……。