公開日 2023/04/08 19:30
変更日 2024/06/20 14:33
Leslie Cheung Kwok-wing in the Wong Kar-wai 1990 movie \"Days of Being Wild\". (Photo by MICHAEL TSUI/South China Morning Post via Getty Images)
2003年4月1日。香港映画の大スター、レスリー・チャンが換気のために唯一開いていたホテルの窓から飛び降りた。その日から丸20年の月日が流れた。レスリーを代表する名作の韓国リメイク作品の日本版主題歌「a better tomorrow」を聴いて今、想うこと。
Leslie Cheung attends the Cannes Film Festival. (Photo by David Lefranc / Didier Baverel/Kipa/Sygma via Getty Images)
俳優だけでなく歌手としても大成功したレスリーが、『男たちの挽歌』の主題歌として声を吹き込んだのが、「當年情」。香港映画音楽の巨匠ジョセフ・クーによる物悲しい香港バラードが、銃撃戦のクライマックスで流れる。韓国版に比べ大げさではあるのだが、でもこれこそが香港映画のエモーショナルな精神なんだといつも実感する。
レスリーは、どれも物悲しいバラード曲を歌わせると右に出るものはいない(「無心睡眠」(1987年)のようなアップテンポのダンスナンバーもあるのだが)。俳優としても歌手としても悲しみをまとい続けた人だった。彼の歌は、おそらく華やかなスター性とは別に、等身大の本心を歌心として乗せていたのではないかと思う。
『男たちの挽歌』の英語タイトルが、「A Better Tomorrow」。同作の中で子どもたちが合唱する曲に由来している。韓国リメイクの日本版にこの英語タイトルが副題でつき、CHEMISTRYの主題歌タイトルにも採用されたことが、「よりよい明日」につなげた気がする。2023年は、レスリーの没後20年。CHEMISTRYがAメロで歌う「深く呼吸をすればmemories」に耳を傾けながら今、レスリーを想うとき、「a better tomorrow」は、どんな意味を持つだろう?