公開日 2023/06/07 20:30
変更日 2024/06/20 14:33
TOKYO, JAPAN - OCTOBER 25: Actor Keita Machida attends the opening of the Tokyo International Film Festival 2018 on October 25, 2018 in Tokyo, Japan. (Photo by Ken Ishii/Getty Images)
ああ、町田啓太扮するイエナガ先生の早口解説は、なんてわかりやすいんだろう。いったい、今何世代なのか定かでないK-POP超入門の扉がここに開かれていたのだ。「BTS」の世界的躍進も再確認できる。さらにそこから、まさか今後の音楽シーンをにぎわせるだろう必聴シンガーを発見できるとは......。
町田啓太扮するイエナガの早口超解説といえど、15分間でK-POPを概観するとなると、確実に的を絞らなければならない。そこでファーストステップとして、イエナガは、K-POPのルーツを探るところから、切り込んでいく。
音楽でもなんでもルーツ(歴史)がわかると、ぐっと全体像がつかみやすくなる。K-POPが単に音楽的な突然変異で進化したのではなく、韓国の歴史と密接に関わりながら発展を遂げたのだから尚更のこと。まず、韓国政府が文化に対する検閲体制を敷いていた1990年代まで遡る。
1992年に結成された「ソテジワアイドゥル」は、アメリカで産声をあげ、独自のスタイルを形成したヒップホップやR&Bなど、ブラックミュージックを率先して取り入れた。若者たちの切実な声を代弁し、当時の検閲制度を憲法違憲だとして撤廃に成功した。これをきっかけに政府は、自国産業としての音楽エンターテインメントに可能性を見出し、振興支援の法を制定する。ソテジワアイドゥルのメンバー、ヤン・ヒョクソクが「YGエンターテインメント」を設立したように、その後のショービズ界を牽引する音楽事務所が続々と立ちあげられる。そうしてK-POPの礎となり、大躍進するための地盤が固められたのだとイエナガは、解説する(イエナガ役の町田君が爽やかすぎて、時折説明が頭に入らなくなるという幸せな弊害はあるのだが)。