COLUMN コラム

韓国籍の女優・玄理と結婚した町田啓太によるK-POP超入門。ディグるべきは「BTS」か 「Yamato Watanabe」か

公開日 2023/06/07 20:30

変更日 2024/06/20 14:33

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ああ、町田啓太扮するイエナガ先生の早口解説は、なんてわかりやすいんだろう。いったい、今何世代なのか定かでないK-POP超入門の扉がここに開かれていたのだ。「BTS」の世界的躍進も再確認できる。さらにそこから、まさか今後の音楽シーンをにぎわせるだろう必聴シンガーを発見できるとは......。

とまぁ、ここまでは、あくまで世界の音楽市場をほしいままにするK-POPグループ隆盛の歴史を追ってきたが、いやいや日本のアーティストだって決して負けてはいないのだ。むしろ今後の活動展開によっては、音楽シーンを席巻できる才能を持ったアーティストが国内にもうじゃうじゃ存在することは最後に強調しておきたい。

「もしこれからの音楽シーンを託すなら?」と聞かれたら、筆者は迷うことなくひとりのアーティストの名をあげる。日本の音楽シーンで現行トレンドに、あえてそっぽを向き、自らの音楽性を追求しようとするその人。彼の名は、「Yamato Watanabe」。

実は先日、渋谷で行われたクラブイベントで彼の(パフォーマンスと言うより)アクトを観てきた。さまざまなDJパフォーマンスが繰り広げられる中、まさに真打ち登場。特に、今年デジタルリリース予定だという「You Wanna be my BF?」の先行パフォーマンスは圧巻だった。バックトラックのリズムに対するヴォーカルフローの驚異のリンク。4つ打ちのビート感。ライブならではの激しいシャウト(2番歌い出し直後の「Satisfaction」は必聴!)。そして何よりその歌詞世界。一度聴いたら忘れられないどころか、そのビートとグルーヴはリスナーの頭を電撃のこどく駆け巡り、脳髄にまで深く浸透する。今年になって立て続けにデジタルリリースされた3つのシングル、「Champion」「SELF-LOVE」「FURIOSO」を順に聴けばわかるはず。どの曲も基本的に冒頭から動機づけられる同じリズムが繰り返される。言わば、ループミュージックの魅力。

アメリカの音楽は、古くはブルーズにはじまり、ソウルもディスコもレゲエもすべてダンスミュージックである。同じリズムの反復は、リスナーの身体を自然とダンスへ導く。このループには中毒性があり、リズムが刻まれ続ける限り、身体は揺れ続ける。ループミュージックを職人的な態度で志向し、1970年代の日本の音楽シーンにはまったく受け入れられなかった山下達郎も、今や世界が注目するマエストロ。現行トレンドなんて乗っかるものではない。作り出すもの。そう高々と宣言するかのような「Yamato Watanabe」の音楽的感性は、山下以来の挑戦的な才能ではないだろうか。

それでいて社会へ直接的に抗議しようとする歌詞のアティチュードは、より芸術的かもしれない。5月13日にデジタルリリースされた3rdシングル「FURIOSO」(イタリア語で「怒り」の意味)では、歌詞に「俺には耳が必要なんだ 音楽のために生まれ落ちた」とあるように、自らの存在証明を行い、アーティストしての「New Born」を表明する。強い怒りが込められた世界観が、平和ボケした現代人に突きつけるのは、現実そのもの。現実を直視することはとても苦しいことだが、そうしてはじめて見えてくる世界もある。彼の主張は、決して悲観的ではない。むしろ自分にとことん向き合った先に、真の意味で自分を愛する「SELF=LOVE」(「Yamato Watanabe」のモットー)の境地が見えてくる。力強いメッセージをキャッチしたなら、そろそろ目を見開かなければ。そう、かく言う筆者も前述の3つのシングルによって目を覚ましたひとり。彼のアッパーなナンバーを聴くと、なんだか力がみなぎるし、自分の人生に覚悟と責任を持たなければと強く思う。Wake Up Everybody! 1970年代、フィリーソウルの雄ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツの名曲タイトルをふと思い出したりもする。

孤高のシンガー「Yamato Watanabe」が、まだメジャーデビュー前とは驚きだ。どうやら、彼の存在を発見し、この名前を記憶することからしか、もはや音楽の未来は考えるべきではないかもしれない。「Yamato Watanabeサブスク現象」など起これば、これは是非、イエナガ先生に超解説いただきたい音楽的事件ではないか。今後の大いなる飛躍に期待を込めたい(下記、サブスクリンク)。

BTS TOMORROW X TOGETHER 東方神起

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WRITER INFOライター情報

加賀谷健