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パク・ソジュンは“預言者”なのか!?韓国ディザスター映画『コンクリート・ユートピア』を解説

公開日 2024/01/23 20:00

変更日 2024/09/04 16:42

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これは過酷な内容だ。1月5日から全国公開されている韓国映画『コンクリート・ユートピア』を観て、人は何を感じ、何を思うのか。悪の先導者を演じるイ・ビョンホンに心底驚きつつ、パク・ソジュンの行動に共感と恐怖を同時に抱く。「イケメン図鑑管理人」のぼく、加賀谷健が、本作の“預言者パク・ソジュン”を読み解く。

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 彼のファンでなければ、何をそこまでと思われるかもしれない。でもぼくは別にパク・ソジュンのファンではないし、『梨泰院クラス』を見るまで、恥ずかしながら彼の存在を知りもしなかった。だから、ひいき目も当然ない。にも関わらず、彼を見たときは衝撃的としか言いようがなかった。ソジュンの表情に隠されたもの。あるいは、その顔そのものが人に喚起するざわざわ感。

 基本頼りない雰囲気なのに、その実、超人的なポテンシャルがあるんじゃないか。彼の背景にはとんでもない陰謀が隠されていて、それを解明したならば、世界はぐらついてしまうのではないか。たったひとりの俳優がここまで人の想像力を豊かにするとは。パク・ソジュンという存在がすでにミステリーであり、世界の謎を解くキーだったりして。それは世界の大いなる希望や力になり得ると同時に、世界を一瞬で無にする破壊神ともなるかもしれない。俳優の顔を借りた21世紀の大預言者なのではないかと、ぼくは密かに考えている次第だ。

 この間、ソジュンが出演する映画『悪のクロニクル』(2015年)を見たのだけれど、ぼくの考えはやっぱり強化され、より確信に近づいた。同作で彼は、新米刑事を演じる。ソン・ヒョンジュ扮する主人公とマ・ドンソク扮するベテラン刑事に目をかけられる存在だが、主人公がゆっくりと泥濘(でいねい)にはまり込む様子を彼だけが必ずひとりで見つめている。静かなたたずまいは恐怖と紙一重。こいつ何か知ってる。でもまさかここまでの黒幕だとは思わなかった。すべては彼の手中。主人公の人生を意図的に運命づけていく周到さ。いやいやこれは“預言者パク・ソジュン”の自己紹介だろうと。ラスト、雨の中、彼が自らのこめかみに銃口を向けて、自己完結させようとする姿も象徴的だった。

韓国映画

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加賀谷健