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韓国BL『セマンティックエラー』は『チェリまほ』に匹敵。三代目JSBファンにもおすすめするポイントは?

公開日 2024/02/01 17:45

変更日 2024/09/04 17:46

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韓国で大ヒットしたドラマ『セマンティックエラー』の劇場版『セマンティックエラー・ザ・ムービー』(以下、『セマンティックエラー』)が、前後編で劇場公開されている。韓国BL作品の決定打にして、日本のBLファンにもレコメンドできる。「イケメン図鑑管理人」のぼく、加賀谷健が、本作に最大の萌えを捧げて解説する。

 これはテレビドラマに限ったことだけれど、田中圭主演の『おっさんずラブ』(テレビ朝日、2018年)がBLドラマの制作環境を整えて以来、2023年から空前のBL黄金期へ突入している。MBS(毎日放送)が2022年から毎クールBLドラマを放送するドラマシャワー枠を新設したことが呼び水となった。当初1年間限定だった同枠が、2023年も続投したからだ。その間、『劇場版 美しい彼〜eternal〜』(2023年)の公開などをはさみながら、あとは民放ゴールデンプライム帯での放送作品を待つのみとなっている。

 ぼくがやっぱり一番好きな作品は、『おっさんずラブ』と『美しい彼』(MBS、2021年)の間で、それはそれは自由で温かい空気感を漂わせた『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京、2020年、以下、『チェリまほ』)だ。赤楚衛二扮する主人公・安達清が、童貞のまま30歳の誕生日を迎えると、人の心が読めるようになる魔法が身についていた。すると同期のエース・黒沢優一(町田啓太)が、実は自分に心を寄せていたことを知り、安達&黒沢による史上空前のピュアラブ大作戦が始まる。それを赤楚くんと町田くんがしっとり、豊かな叙情と余韻で演じるから、なおさらゴールデンなコンビとなった。キング・オブBLな同作は、日本だけでなく韓国でも大ヒット。赤楚は2023年10月に韓国で初のファンミーティングを行い、サブタイトル「〜My very first time in Korea! FYI,I like soondubu〜」に込めた通り、スンドゥブへの愛好を表明していたっけ。

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 日本のBL作品は、他国へ輸出しても恥ずかしくない名作がいくつかあるのだが、では逆に他国からの輸入作品はどうなのだろう。一時期タイBLブームが凄まじかったのは記憶している。でもなぜだか韓国BLの印象はそこまで強くない。これは単にぼくの勉強不足だが、媒体の編集者に聞くと、韓国BL作品はタイBLほどには日本人に刺さっていないよう(もちろん刺さっている人には刺さっている)。これはなぜなのか。スンドゥブ俳優・赤楚衛二は、韓国で何かしら答えめいたものをキャッチし、持ち帰ってくれただろうか(ぜひとも韓国でのBLリテラシーについて聞いてみたい)。当然これまでにも話題作はたびたび輸入され、(ぼくが知らないだけで)それなりの人気を博しているんだろうが、例えばヨン様ことペ・ヨンジュン主演の『冬のソナタ』(2002年)くらい誰もが知るところの韓国BLドラマがあってもいいはずなのに…。が、そんな瞑想状態をすがすがしく払拭してくれる作品が満を持して公開された。前後編で全国公開されている『セマンティックエラー』が、なるほど、ひとつの回答なのだなと納得した。

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加賀谷健