COLUMN コラム

韓国BL『セマンティックエラー』は『チェリまほ』に匹敵。三代目JSBファンにもおすすめするポイントは?

公開日 2024/02/01 17:45

変更日 2024/09/04 17:46

#

韓国で大ヒットしたドラマ『セマンティックエラー』の劇場版『セマンティックエラー・ザ・ムービー』(以下、『セマンティックエラー』)が、前後編で劇場公開されている。韓国BL作品の決定打にして、日本のBLファンにもレコメンドできる。「イケメン図鑑管理人」のぼく、加賀谷健が、本作に最大の萌えを捧げて解説する。

『セマンティックエラー』は、快くすがすがしい作品だ。まず冒頭わずか数分を見てぼくはこの作品の世界を魅力的に思った。なんだろこの爽やかさ。『チェリまほ』だけでなく、ほかにも『みなと商事コインランドリー』(テレビ東京、2022年)など、日本のピュアラブもそりゃ爽やかだけど、本作の爽やかさは同時に痛快でもある。その痛快さは例えば、香港映画界のカリスマ、パン・ホーチョン監督の“ゲスいけど心憎いんだよな”と思わせる作風にどこか似ていると思うのだ。香港映画好きのぼくには、この作風が何よりも好感度抜群。というわけで、はからずもパン・ホーチョン的な息吹に導かれながら、この未知のタイトルの作品に俄然、入り込んでいけそうな気がする。

 韓国本国は元より、中国や台湾、日本などで圧倒的な支持を集めたのは、韓国独自の配信サービスで2022年にドラマ版が配信されたときからだった。そこから映画になるとは、人気をさらに裏書きする決定打となる要素があるはずだ。大学の先輩、後輩がお互いに悪い印象を持つドタバタな出会いは、さながら日本のラブコメ漫画のよう。先輩からの度を超えた嫌がらせは明らかなサイコだが、それが変態じみた強烈さなだけに、不思議とこのチャン・ジェヨン(パク・ソハム)というキャラクター最大の萌えポイントとなる。秀才後輩・チュ・サンウ(パク・ジェチャン)との身長差もいい。サンウのせいで大学を卒業できなくなったジェヨンが、毎日つけ回しているうちに、異常な執着とちょっと乙女な愛情を抱くギャップも絶妙に配合されている。ほんとに萌えポイントだらけ。

(C)2022 Watcha All Rights Reserved.

 狂気と拒絶の毎日が繰り返された結果、ある日突然、そのときがくる。教室の窓際(これは『美しい彼』の平良と清居にとっても同様に決定的な場所だった)。サンウが寝ている横へジェヨンが座る。ジェヨンはサンウが顔を隠すようにいつもかぶっているキャップのふちをちょろりとさわる。この瞬間、何かが芽生え、ふたりの関係性がグッと変化する兆しが見えた。直後、ジェヨンがサンウの窮地を救う。付け入るなら今だと、ジェヨンがパソコンを貸してくれと部屋に上がりこむ。サンウが洗面所から戻ると、上着を脱いで黒のTシャツ姿になったジェヨンがパソコン画面を見つめている。ジェヨンはサンウが嫌う赤い服を毎日着ている。しかも全身赤。ジェヨン役のパク・ソハムにとにかく似合う。この人は初めて見たが、こんな綺麗な顔の人、見たことがない。それくらい淡麗でつややか。相手の腕をつかんで真顔で「俺はイケメンか?」と聞くことができる俳優はおそらく世界のどこを探してもソハムだけではないだろうか。黒いピアスもいいし、どんな恰好でも着こなす天性のおしゃれイケメン。

(C)2022 Watcha All Rights Reserved.

 中盤からジェヨンが赤色を着なくなるのはもうがっくり(!)。ほかの色でも引き立つ顔立ちだけれど、パク・ソハムと赤色コーデには、強烈な連辞を感じるし、ジェヨンのイケてる要素をすべて集約している。何だかパク・ソハムの名前を急に連呼しはじめたが、そう、彼はどこか、我らが三代目 J SOUL BROTHERSのヴォーカルØMI(登坂広臣)にうっすら似ている気がする(のはぼくだけ?)。ØMIが俳優としても存在感を定着していたころの『雪の華』(2019年)などを勝手に懐かしく思ったのだ。顔がすごく似ているとかじゃなく、雰囲気としてØMIくん的なものをひしひしと。そしてØMIくん的なものを心の中で温めたくなってくる。パク・ソハムはそういう不思議な存在。それが本作をØMI MATE(ファン)のみなさんにもおすすめするポイントなのだ。赤色から三代目JSBへと妄想像が広がる。なるほど、サンウとジェヨンのこの尊さ、安達&黒沢にも匹敵するかもしれない。じれったくもつつましい関係性も『チェリまほ』的ではないか。韓国BLドラマのひとつの決定打にして、パク・ソハムによる技ありの一作。そんな『セマンティックエラー』現象が、どうか日本でもっと広まりますように。

韓国ドラマ 韓国映画

この記事を気に入ったらシェア!

この記事について報告する

  • 韓国大好き連載コーナー
  • vote
  • 中国ドラマ特集
  • K-POPニュース

WRITER INFOライター情報

加賀谷健