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最新作ドラマも好調のアン・ボヒョン35歳。初主演『軍検事ドーベルマン』で、“再発見”から“限界突破”へ

公開日 2024/03/21 11:45

変更日 2024/09/11 11:44

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最新作ドラマ『財閥 x 刑事』も好調のアン・ボヒョンは『梨泰院クラス』(2020年)で“悪役”然とした魅力が強烈だった。現在35歳。初主演作『軍検事ドーベルマン』(2022年)はさらなる技ありか。“イケメンサーチャー”ことコラムニストの加賀谷健が、本作で“限界突破”するアン・ボヒョンを読み解く。

 転校生の自己紹介。よくある青春ドラマのひとコマかと思いきや、パク・セロイ(パク・ソジュン)が空いている席に座るなり、教室の後方からすごい物音が。可哀想なメガネ男子をロッカー前に追い込み、金髪男子がどう喝する。クラスメイトは見て見ぬふり。絵に描いたように図式的なイジメの光景。金髪が牛乳パックを開けて、中身をメガネ男子の頭上に注ぐ。頭から牛乳がしたたり、金髪のズボンにも数滴飛び散る。決して汚れることなんてない。人生を約束された財閥御曹司のズボンに付着した数滴が、なんだか異様に生々しく感じられた。

 この金髪御曹司チャン・グンウォンに強烈な印象を持ち、アン・ボヒョンの名前を深く記憶することになる。転校生だから勝手がわからないパク・セロイは、ひとり勇猛に立ち上がり、チャン・グンウォンの腕をつかむ。「金持ちがチンピラみたいなマネを?」と見下ろしながら問うと、チャン・グンウォンはギロッと仰ぎ見て、「チンピラ?」と聞き返す。御曹司でありながら、チンピラ風情を演じなければならない。役柄のイメージがべったりはりつくくらいこの仰ぎ見がまた強烈。実際、日本でアン・ボヒョンが紹介されるとき、必ず『梨泰院クラス』の“悪役”とされることが多い。

 誰もが思わず記憶してしまう役柄を演じると俳優のパブリックイメージがその瞬間に決定づけられる。言わば、俳優の宿命。韓国を代表するふたりの同世代俳優が実年齢よりだいぶ下の年代のキャラクターを演じてもなお、これだけのインパクトを与えてしまう。けれども、この悪役にばかりアン・ボヒョンを閉じ込めてしまうのはもったいない気がする。東映任侠映画の高倉健にも匹敵する三白眼で、相手俳優を凝視できる才能は、もっと無限にさまざまな役柄を演じるチャンスとポテンシャルを秘めているからだ。

韓国ドラマ

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加賀谷健