公開日 2024/04/09 11:45
変更日 2024/09/11 15:07
LAS VEGAS, NEVADA - APRIL 03: V of BTS attends the 64th Annual GRAMMY Awards at MGM Grand Garden Arena on April 03, 2022 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Johnny Nunez/Getty Images for The Recording Academy)
BTS Vが、3月15日にブランニューシングル「FRI(END)S」をリリースした。テテの新曲ドロップはほんといつでも胸躍る。しかも今回は超“お得な”シングルときた。“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、テテならではの魅力を解説する。
「FRI(END)S」を一聴して感じるのは、バックトラックの心地よさだ。ボーカルとともにトラック全体がハネているのは、8分の6拍子によるリズム感によるもの。いわゆる6/8のリズムは、現行R&Bのトレンド。もはやあれもこれもかというくらい多くの楽曲のリズムとして採用されている。R&Bリスナーのツボをしっかり押さえてくるあたり、チャートアクションは勘定に入れないにしろ、そろそろグラミー賞で最優秀R&Bソング賞1冠くらいはあってもいいんじゃないか。テテや「Standing Next to You」でアッシャーまで招聘したジョングクが未だにノミニーにすらならないのは絶対におかしいと直訴してやりたい。
それはさておき、6/8のリズムによる「FRI(END)S」は、テンポの違いでも色々楽しませてくれる。R&Bシンガーの新譜には最近必ずテンポアップしたスペッドアップバージョンが収録されるものだが、同作でも3曲目にちゃんと入っている。キュルキュル早回しボイスでも聴かせてくれるテテってほんと。その逆のスローダウンバージョンもある。こっちはこっちでより低音になったテテのスローボイスを楽しめる。シングルでありながら、2倍も3倍も楽しめる“お得な”工夫がこらされている。わかってるんだよなぁ、テテは、どこまでも。
さらにこれは単純な比較として、「Seven(feat.Latto)」や「Standing Next to You」のグクがよりポップス寄りなのに対して、テテはひと回りミニマムなスロージャムを心がけている。グクによるアッシャー招聘には、マイケル・ジャクソンから続く第3のキング・オブ・ポップとして王位継承する雄大さがあるのに対して、テテはゆるやかな連帯みたいな感じでネオソウル仲間のUMIなど、ヴァイブスが合う人と音楽を共作することを心から楽しんでいるように見える。それは「Slow Dancing」のミュージックビデオのゆったりくつろぐような雰囲気からも明らかだったし、今回の「FRI(END)S」でもパーソナルな心の世界をのぞかせることに余念がない。
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修。 クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションで、企画・プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメン研究」をテーマに、“イケメン・サーチャー”として、コラムを執筆。 女子SPA!「私的イケメン俳優を求めて」連載、リアルサウンド等に寄稿の他、CMやイベント、映画のクラシック音楽監修、解説番組出演、映像制作、 テレビドラマ脚本のプロットライターなど。2025年から、アジア映画の配給と宣伝プロデュースを手がけている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。