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韓国ファンミーティング、BTSとの交流から『パレード』へ。坂口健太郎は時空を超える……

公開日 2024/04/25 11:45

変更日 2024/06/20 14:34

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坂口健太郎が出演する『パレード』がNetflixで配信されている。この世とあの世を彷徨う様子が坂口らしいリアルな存在感で演じられる。韓国ゆかりの俳優が本作でまさかの時空を超えるのだとすると? 「イケメン・サーチャー」こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。

坂口健太郎と韓国との親和性

 坂口健太郎ほど“韓国的”と形容すべき日本人俳優をぼくはほかに知らない。もはや韓国の俳優だと言い切ってもいいくらい、坂口と韓国との親和性はあまりにも高い。まずビジュアル面では、韓国ドラマ『天気がよければ会いにゆきます』(2020年)などを代表作とするソ・ガンジュンと似過ぎているとよく言われる。まぁ確かにそうかなくらいに思いつつ、より決定的なのはBTSとの関係性。坂口が所属するトライストーン・エンタテイメントは2019年にBTSとの業務提携を発表した。坂口主演のドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ・フジテレビ、2018年)の劇場版主題歌「Film out」にはジョングクが楽曲制作に参加し、BTSメンバーでは特にJ-HOPEとの交友はよく知られている。2022年に坂口がプレゼンターを務めた『2022 MAMA AWARDS』で、BTSの『Proof』を「Album of the Year」として発表し、来日したJ-HOPEとは3年ぶりに再会している。坂口のInstagramにアップされると、投稿にJ-HOPEがいいねを押すという、そんな韓国的尊さがある。

 韓国的な俳優である坂口は当然韓国内でも人気。2023年9月にはソウルでファンミーティング『2023 Kentaro Sakaguchi Fanmeeting in Korea』を開催した。これまでの出演作品のいずれも胸を張って輸出しても構わない粒ぞろいだが、ぼくとしてはこの作品をひとまず推薦しておきたい。伊藤ちひろ監督の『サイド バイ サイド 隣にいる人』(2023年、以下、『サイド バイ サイド』)。同作は全編、不思議な雰囲気が漂うというか、みなぎっている。作品のトーンを規定するように、主演の坂口は冒頭わずかですでにただならない存在感を発揮する。彼がゆるやかな小坂を歩いていると、そこには乳牛がいて、「行こう」といって何事もないように連れて行く。長回しのカメラが事の次第を丸ごと写し出しながら、どうもぼくらが知る現実とはすこし空気感が違う世界であることを認識する。

 あるいは、台所に立つ坂口が、シンクで洗うパプリカなどの野菜の鮮やか過ぎる色に思わず目を奪われる。これもまたぼくらが知る野菜とは似て非なるもののように思われる。うーむ、なんだろこの世界。どうやらその世界とはまた違うどこかへ行ってしまったらしい坂口健太郎の面影を求めるように映画は終わる。これはぜひとも日本や韓国だけでなくて世界中の人々に見てもらいたい。別の世界への想像を促した本作は坂口による別次元の体験をもたらしてくれたからだ。そう、別次元。次元が違う、まだ見ぬ、どこか。それがどこだったのか、ひとつの答えを与えてくれる作品がまた別にある。

MAMA(Mnet Asian Music Awards) Netflix ソウル

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加賀谷健