COLUMN コラム

韓国ファンミーティング、BTSとの交流から『パレード』へ。坂口健太郎は時空を超える……

公開日 2024/04/25 11:45

変更日 2024/09/11 16:30

#

坂口健太郎が出演する『パレード』がNetflixで配信されている。この世とあの世を彷徨う様子が坂口らしいリアルな存在感で演じられる。韓国ゆかりの俳優が本作でまさかの時空を超えるのだとすると? 「イケメン・サーチャー」こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。

『新聞記者』(2019年)などから日本映画界を担う旗手のひとりとなった藤井道人監督作『パレード』では、死者となった主人公・美奈子(長澤まさみ)がこの世とあの世の狭間を彷徨う。自分の身に何が起こったか判然としない彼女を「現世に未練がある人たち」が集まる場所に連れてくる導き手になるのが坂口扮するアキラ。ここまで彼らはアキラが運転するバンできた。主演ドラマ『Dr.チョコレート』(日本テレビ、2023年)でも坂口とバンの組み合わせは印象深かった。そこには両腕に入れ墨を入れた勝利(横浜流星)など、訳ありな人たちがいるのだが、藤井作品の常連である横浜流星の存在がうまく機能している。

 横浜主演の『ヴィレッジ』(2023年)で藤井監督がモチーフにしたのは能楽だった。能面を手にした横浜が、能楽最大のエッセンスである幽玄を漂わせた凄みはひとりの俳優の演技の極限すれすれの臨界まで到達していた。能は、シテ(主役)とワキ(脇役)にわかれ、ほとんどの演目でこの世あの世を彷徨う亡霊が主人公。シテが演じる亡霊に対して、この世での導き手となる僧侶をワキが務める。藤井監督と横浜の再タッグによってこうした能楽の世界が『パレード』の死者の世界観にも見事に取り入れられている。ここでは、シテもワキも亡霊だが、主人公を誘導する坂口の役どころは、シテ的な役回りだろう。

『サイド バイ サイド』のラストで別の世界に行ってしまったことを思い出すまでもなく、今回もこの世ではない別の世界を生きることになる。それがいかにも自然に移りながら、死者としての不自然さ、違和感みたいな機微まで細やかに表現されている。この世とあの世を彷徨う、より曖昧な存在として難しい役にも関わらず、どうしてこんなにリアリティーがあるのか。さっきまで韓国的と形容していた坂口健太郎の存在感とはそもそもどのように捉えるべきなのか……。

MAMA(Mnet Asian Music Awards) Netflix ソウル

この記事を気に入ったらシェア!

この記事について報告する

  • 韓国大好き連載コーナー
  • vote
  • 中国ドラマ特集
  • K-POPニュース

WRITER INFOライター情報

加賀谷健