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BTS Vは“オペラ的な人”? 音域と声質から考える低音と名盤『Layover』の魅力

公開日 2024/06/10 20:00

変更日 2024/06/20 14:34

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我らがテテこと、キム・テヒョンは、その実、“オペラ的な人”ではないかと考えるようになった。そのバリトンボイス。深みのある声質。などなど、オペラや声楽の視点から考えるBTS Vの魅力がある。イケメン研究をライフワークとするコラムニスト・加賀谷健が解説する。

Vの音域と声質

 BTS Vのソロについてはこれまでも複数コラム記事を発表したが、より多面的なアプローチで考えてみたいなと思っていたら、2021年掲載の面白い記事があった。BTSメンバーそれぞれの音域と声質について、オペラ歌手が声楽の視点から分析するものである。Vとオペラ。クラシック音楽を専門とするプロダクションにいながら、R&Bをこよなく愛するぼくにとっては興奮が隠せない話題だ。同記事にはVの歌唱についてこんな評価があった。

甘いバリトンボイスを生かした上での深めのチェストボイス、ミックスボイス、ヘッドボイス、ファルセットを見事に使いこなしながら歌うので、パッと聴くと音域が広いことを気づかせないほど声の切り替わりがスムーズ

出典元:https://gendai.media/articles/-/88508?page=3

なるほどなぁ。となると、基本はバリトンボイスのVは、(次中音部)上低音部から低音部まで、グラデーション豊かな音域を自在に揺れ動くことができる。声質で分類するなら、叙情的なバリトン(リリコ)からディープで野太いバス(ドラマティコ)まで。具体的なオペラの役名だと、『ドン・ジョバンニ』のタイトルロールから『魔笛』のザラストロまで、モーツァルトのオペラ(ジングシュピール)に登場する主要なキャラクターならVは演じられるかもしれない。オペラへの関心が伺えるVがアリアをちょっと一節歌ってみる動画があるけど、バリトンやバスの音域ではなく、むしろソプラノやテノールのナンバーなのだから驚く。

 ヴェルディ以後のイタリア・オペラの大家プッチーニの『トゥーランドット』から言わずもがなの名アリア「誰も寝てはならぬ」(テノール)やイタリア・オペラを学んだドイツ人作曲家ヘンデルが1711年にロンドンで初演した『リナルド』の「私を泣かせてください」(ソプラノ)など美麗なファルセットも駆使して音程を取りながら発声している。Vのファルセットは、ファルセットではなくナチュラルハイテナーと理解してもいいかもしれない。広い音域と豊かな声質のVがもしオペラに登場するなら、そうだな、『トゥーランドット』と並んで人気がある『トスカ』の警視総監スカルピア役がはまり役になるんじゃないか。音域はバリトンで、声質の分類は、劇的で強靭なドラマティコ。Vが演じる悪役を見てみたいと妄想するのも楽しい。

▼BTS Vについての過去記事はこちら▼

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加賀谷健