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BTS Vは“オペラ的な人”? 音域と声質から考える低音と名盤『Layover』の魅力

公開日 2024/06/10 20:00

変更日 2024/09/04 13:17

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我らがテテこと、キム・テヒョンは、その実、“オペラ的な人”ではないかと考えるようになった。そのバリトンボイス。深みのある声質。などなど、オペラや声楽の視点から考えるBTS Vの魅力がある。イケメン研究をライフワークとするコラムニスト・加賀谷健が解説する。

 歌劇(オペラ)と声楽の視点から読み解くと、Vの魅力はどんどん広がる。バリトンでありながらテノールのアリアを歌うVの動画を見て、世界的なソプラノ歌手まで興味を示した。1986年のデビュー後すぐにカラヤンに見出された韓国出身のスミ・ジョーである。2021年にVとのオペラデュエットを切望したことでも話題になったが、極めつけが、2020年12月30日、Vの誕生日にスミ・ジョーが自身の公式YouTubeチャンネル「Sumi Jo Official」にアップした「Snow Flower」のカバー動画だ。

 スミ・ジョーが自らピアノを伴奏したあと、マイクに向かう。オペラ歌手がポップスを歌うときの仰々しさは全然ない。歌い出しもナチュラル。でも華麗。同カバーは、Vへの誕生日プレゼントとして吹き込まれたものだが、オペラとポップスが真に溶け合い、自然とクロスオーバーするランドスケープがこうもメロウに広がるものか。

 でもやっぱりVのオリジナルの方が懐かしくなって、2024年もそろそろ夏真っ盛りに突入するというのに、いそいそと「Snow Flower」に傾聴してみる……。するとこれが不思議。Vが「Christmas」の「Chri」まで発音したところで、辺りがすっかりクリスマスの情景に様変わり。5月なのに。ほんと「Chri」だけで12月まで一足飛び。季節外れのイブイブイブ(?)気分にタイムスリップさせ、浸らせてくれるのだ。16世紀後半、古代ギリシア劇復興の中で誕生したオペラとはつまり、歌と芝居が渾然一体になった舞台芸術の小宇宙のことだが、時空を超えるVは、その意味で極めて“オペラ的な人”なのかもしれない。

BTS

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加賀谷健