COLUMN コラム

岩田剛典がソロツアー武道館ファイナルで「Seven(feat.Latto)」をカバー。ストリートな出自から考察!

公開日 2024/06/23 11:45

変更日 2024/08/30 16:17

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6月7日、岩田剛典がソロ初となるアリーナツアー『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024“ARTLESS”』を武道館で完走した。8000人以上の観客を前にアンコールで披露したカバー曲が何とジョングクの「Seven(feat.Latto)」。イケメン研究をライフワークとするぼく、加賀谷健が、グクのヒットシングルカバーについて考察してみる。

 岩田さん本人が明言するように、そのソロ楽曲群は、アシッドジャズと呼ばれる。アシッドジャズは、UK発の音楽ジャンル。1980年代のイギリスのクラブシーンから生まれた潮流であり、1987年に設立されたレーベル名でもある。1992年、「When You Gonna Learn」でデビューしたジャミロクワイは同レーベル所属の超ビッグネーム。ほかにもオマーなどアーティストがこのジャンルを代表するが、岩田さんのデビューシングル「korekara」や「Ready?」のギターリフは、The Brand New Heaviesの「Dream On Dreamer」っぽい気がする。そして1987年というと、アメリカでは打ち込みによる電脳的なリズム音楽であるニュー・ジャック・スウィングがR&Bシーンの一大ムーブメントとして発火する時代。Guyの中心メンバーとして、「piece Of My Love」を1988年にリリースし、その後シーンの旗手となるプロデューサーがテディ・ライリー。彼のサウンドをシグネチャーとする同ジャンルにダイレクトに影響を受けていたのが、2001年にJ Soul Brothersから改名した初期のEXILEだった。2003年にはズバリ、「New Jack Swing」というトラックタイトルのナンバーをリリースしている。

 ニュー・ジャック・スウィングの一方で、アシッドジャズやソウル・Ⅱ・ソウルを代表的グループとするグラウンドビートなどのUKソウルの洗練されたサウンドがある。EXILEによるブラックネスを三代目J SOUL BROTHERSとして継承しながら、自分のソロ曲としてはUK的な洗練を極めること。パフォーマーから俳優へ、そしてソロアーティストへと段階を踏み、三足の草鞋(わらじ)を履く岩田さんは、常にソフィスティケートされた存在。今回のアリーナツアーの初日でぼくはオフィシャルライターを担当させてもらったが、武道館公演はどんな大団円になるのかとうっとり想像していた。するとやっぱり洗練の極致に着地するんだからなぁ。

 個人的には、ライブ中盤、TEAM Gバンドメンバー紹介から「korekara」でマサ小浜の(武道館仕様の)ギターカッティングのリフに接続される流れに洗練を感じた。ライブ全体の統括プロデューサーも兼務する岩田さんのしゃれた構成力は確かなもの。でもそこからまさかリクエスト曲でグクの「Seven(feat.Latto)」がパフォーマンスされるなんて夢にも思わなかった。初日のリクエストコーナーでは、その日すでに披露したオリジナル曲2択から観客が選ぶギミックだったが、武道館ではカバー1択という。選曲が粋なんだよ。しかもこの全米制覇ナンバーをカバーすることで、完全にR&Bの文脈にコネクトされるという。EXILEからの伝統がここで回収されちゃったみたいな。それを涼しい顔でやってのける岩ちゃん。さすがパフォーマーだから、軽快なダンスで清々しくカバーしちゃう。岩田剛典の洗練度は、今、想像を超えた領域に突入している気がするのは、ぼくだけ?

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加賀谷健