公開日 2023/06/16 12:00
変更日 2024/06/20 16:30
K-boardが読者に贈る、韓国文化を愛する著名人コラム。韓国エンタメの第一人者! アナウンサー・ラジオパーソナリティとしておなじみの、あのYumiさんの寄稿、第3弾です!
皆さん、韓国の「お茶」はお好きですか?
甘くて飲みやすい柚子茶やオミジャ茶は、今では日本のスーパーでも手に入りますし、
さっぱりと香ばしいコーン茶は韓国食材を扱っているお店では必ずありますし、
韓国ではペットボトルでコンビニで売っていますよね。
はたまた、韓国ドラマで登場した「伝統茶」や「韓方茶」に興味を持って、
ちょっとお勉強しています!という方も私の周りにはたくさんいらっしゃいます。
私もお茶が大好き。
お茶を飲む時間って、ホッと肩の力が抜けてリラックスできるし、お喋りもはずんじゃう。
いつの時代も、どこの国でも、お茶って、生活の中の大切なアイテムですよね。
皆さんは子供の頃から、どんなお茶を飲み育ちましたか?
緑茶?麦茶?ほうじ茶?
コリアン3世の私は日本で生まれ育ちましたが、子供の頃から祖父が、
家の畑で採れたとうもろこしを丁寧に煎って作ってくれた
「自家製コーン茶」を飲み育ちました。
このコーン茶がですね、もう、言葉では表せないくらい
香ばしくて深みがあって、実に美味しかったのです。
ホットは寒い冬にこたつでハラボジ(祖父)と
お喋りしながら飲んだ温かい思い出と共にその味を思い出しますし、
アイスは、夏休みに真っ黒に日焼けしてプールから帰ってきたら
出してくれたハルモニ(祖母)の笑顔とともに思い出す、
さっぱりと香ばしい最高に美味しいコーン茶でした。
生活に密着したお茶って、その味と香りの記憶から、
その人の大切な「物語」とも直結しているのかもなぁ・・・って、思います。
若かりし頃韓国から日本に渡ってきた祖父母は、異国の日本で暮らしながらも、
慣れ親しんだ自国のお茶を手間暇かけて作り、子供や孫にも伝え、
生活の中に息づく文化を大切にしていたんだなぁ・・・と
感謝の気持ちが込み上げてきます。
その影響があったのか、お茶好きに育った私ではありますが、
高麗人参の入った「韓方茶」的なお茶は、
子供の頃風邪をひいた時に濃く濃く煮出した物を飲まされていたので、
苦いイメージと、なんだか“おしゃれじゃない”イメージがあって、
あまり好きではありませんでした。
ですが昨今、そんな韓国の「韓方茶」のイメージは
随分変わってきたのを実感します。
先日、韓国文化院さん主催で行われた
「東医宝鑑アカデミー特別イベント・韓方ウィーク2023」には、
開催期間中の4日間、実にたくさんの方々が訪れ、大盛況となっていました。
私も友達に誘われて行ってきたのですが、
その美しさと美味しさ、学びの多さに大興奮でした。
こんなに「韓方茶」って奥が深くて、洗練されたものだったなんて!
まず私が参加したのは「朝鮮王朝お茶体験」。
なんと17倍という競争率を突破して当選してしまいました。
それだけ応募者が多く人気のイベントだったのです。
釜山大学校韓医学専門大学院教授で韓医学博士の李尚宰(イ・サンジェ)先生による、
お茶にまつわる歴史のお話しを聞きながら頂く
伝統茶とお茶菓子(タシク)は、実に美味しかったです。
美しい茶器と共に堪能しました。
まずはほんのり赤いオミジャ茶。
モクレン科チョウセンゴミシの赤い果実を「オミジャ(五味子)」と言い、
韓国では昔からお茶、お菓子、お酒、韓方薬の材料として使われてきました。
味は、文字通り5つの味である酸味、苦味、甘味、辛味、塩味。
飲む人によって、強く感じる味が違うという不思議なお茶です。
私は甘味を強く感じました。美味しい〜〜〜。
ちなみに、甘味を強く感じる人はストレスなどで胃腸が弱っているかも?とのこと(え〜!)。
ちなみにこのオミジャ茶、ドラマ「チャングムの誓い」で登場した
中宗(チュンジョン)王が好んで飲んでいたそうです。
中宗王は何味を強く感じたのかしら・・・。
私が今回初めて頂いてすごく気に入ったのは、焦げ茶色っぽい瓊玉茶飲(キョンオクダウム)。
朝鮮人参、茯苓(サルノコシカケ科)、地黄のブレンド茶。
色が濃く苦そうな見た目ですが、苦味は少なく、朝鮮人参の香りもまろやかで、
なんとなくゴボウ茶に似ている、深いお味。
きゅうすに入れお湯を注ぎ3分ほど置くと飲み頃です。
イ・サンジェ先生のお話によると、文献「朝鮮王朝実録」には、
当時は朝鮮人参、橘皮(ミカンの皮)、生姜、桂皮(シナモン)などを
ブレンドしたお茶がよく飲まれていたようです。
朝鮮王朝時代は「儒教」の時代。
その前の「仏教」が栄えた高麗時代は緑茶が盛んに飲まれていたようです。
どの宗教が隆盛した時代なのか、当時の世相によっても、
飲まれていたお茶が違っていたとは、興味深いお話しでした。
今回私が特に興奮したのはとっても美しいお茶菓子たち。
砂糖と水で煮込んだ伝統菓子を正菓(煎菓)というのだそうです。
真ん中がくるみ正菓、その上が紅玉正菓(りんご)、左が金柑正菓、
右が朝鮮人参正菓。朝鮮人参正菓の一つに乗っている赤い花のようなものはナツメ、
その下に二つちょこんと乗っているのは、
ひまわりの種をスライスしたものです。なんて細かい仕事!!
そして下に3色並んでいるのは梅雀菓というそうで、カリッ、ポリッとした軽い食感。
どれもそれぞれ異なる食感が楽しくて、甘味と滋味深さがあり、
お気に入りの瓊玉茶飲とよく合う美味しさでした。
イ・サンジェ先生、ありがとうございました!
あっという間の楽しい「朝鮮王朝お茶体験」の後は、「自分に合う韓方茶作り」体験。
私の友人がなんと、イ・サンジェ先生のお弟子さんで、
彼女のアドバイスで、私にピッタリのお茶を作ってみました。
むくみやすく、手足が常に冷えていて気が滞りがちな私は、
ハトムギをベースに、橘皮とポップンジャ(ブラックベリー)の3種をブレンド。
とっても良い香りの「マイお茶」が出来上がりました!
こういうのって、テンション上がりますよね。
その後は韓方の視点から見た「アンチエイジング」がテーマのセミナーにも参加し、
しっかりお勉強もして、知的好奇心が大満足の1日でした。
一言で「お茶」と言っても普段私たちがよく飲むお茶と
「伝統茶」や「韓方茶」の世界は全く違っていて、
知れば知るほどより知りたくなっちゃう、
そんな長い歴史や文化の叡智が詰まった、とても魅力的なものでした。
ちなみに、韓国の庶民が一般的に食事の際に普段よく飲むお茶は、
コーン茶やとうもろこしヒゲ茶、トゥングレ茶(アマドコロ茶)などだそうですよ。
今後韓国旅行に行かれた際は、ティーセラピーを受けてみられて、
あなただけのブレンド茶に出会ってみるのもいいかもね。
そして、もっともっとあなたらしく輝いてくださいね!
著者プロフィール:
山口県下関市生まれ。通称”韓流ファンミの女王”。
年間約 150 本以上、延べ 2500 本以上のイベントの司会をつとめ、愛のあるツッコミと巧みな話術で出演者の素顔と本音を引き出すナビゲーターとして、多くの韓流ファンの女性の支持を集める名物 MC。
近年は、占いカウンセラーとしてワークショップを開催するなど、アナウンサーの枠にとらわれず幅広く活動中。
ハングル本、コミュニケーション術の書籍も執筆。