COLUMN コラム

日本人作家のベストセラー小説を韓国で映画化したら、どう変化するのか?

公開日 2019/07/22 17:14

変更日 2024/06/20 17:58

#

日本人作家が綴る心に響くベストセラー小説は、韓国映画界でも注目の的。原作にはない展開が随所に散りばめられたり、異なるエンディングが用意されていたり、いわばオリジナルのベースに意外なスパイスが加味された“韓式アップデート版”だ。そんな楽しみ方ができる「日本人原作による韓国映画」を堪能してみよう!

原作:村上春樹「納屋を焼く」

村上春樹が1983年に発表した短編小説「納屋を焼く」を大胆に脚色しつつも、村上作品の世界感を見事に踏襲した極上ミステリーとして映画化!
『ポエトリー アグネスの詩』『オアシス』『ペパーミント・キャンディ』などで「ラストカットの魔術師」と称されるようになったイ・チャンドン監督は、幻想的な映像美をスクリーンに映し出しながらも、実は“社会のタブー”や“理不尽な現実”を一貫して描いてきた名手だ。本作では未来への希望が見えない格差社会を背景に、漠然とした“生きづらさ”を抱えた若者たちの危うい実像に踏み込んだ。
若手演技派ユ・アインは、不安と絶望にまみれた貧困青年の屈折感を表情ひとつで見事に体現化し、「米ニューヨーク・タイムズ紙 2018年ベストアクター12人」に選出。米テレビドラマ「ウォーキング・デッド」の善良なグレン役から一転、スティーブン・ユァンは金と時間を持て余す謎の富裕層になりきり、不可思議な緊迫感を高めていく。本作で彗星の如く演技デビューを飾ったチョン・ジョンソは、いきなり美しいヌードを披露した驚異の新人女優。この三者三様の自然体かつ等身大のアンサンブルも違和感なく素晴らしい。
「第71回カンヌ国際映画祭」では、是枝裕和監督作『万引き家族』が最高賞パルムドールに輝いた。その一方で、映画業界誌スクリーン・インターナショナルによる「星取り表」では、映画評論家10人中8人が『バーニング 劇場版』に満点をつけ、『万引き家族』を上回る歴代最高評価点を与えられた。
原作にはなかった “映画オリジナルのラストシーン”によって、余韻という一言では語り尽くせない激しいカタルシスが叩きつけられたまま映画は終わる。作家村上春樹と映画監督イ・チャンドン、この巨匠二人の出逢いがなければ成しえない、まさに「ラストカットの最高傑作」がここにある──

【STORY】
バイト暮らしの青年ジョンスは、偶然再会した幼なじみのヘミと一度だけ肉体関係を持ち、彼女の海外旅行中に飼い猫の世話を頼まれる。やがて旅を終えたヘミは、裕福な男性ベンを伴って帰国。ベンはジュンスに「古いビニールハウスを燃やしています」と“趣味”を打ち明ける。そしてこの日を境に、ヘミが忽然と姿を消してしまった……。

監督:イ・チャンドン 

キャスト:
ユ・アイン 
スティーブン・ユァン 
チョン・ジョンソ

原題 : 버닝(英題:Burning)
2018年 韓国映画/148分/日本公開 2019年2月1日 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71Oi6etELIL._SL1300_.jpg

おすすめ 韓国映画 韓流

この記事を気に入ったらシェア!

この記事について報告する

  • 韓国大好き連載コーナー
  • vote
  • 中国ドラマ特集
  • K-POPニュース

WRITER INFOライター情報

ライターK

韓国情報を発信していきます★