COLUMN コラム

俳優チュ・サンミ(『気まぐれな唇』)が監督した感動のドキュメンタリー『ポーランドへ行った子どもたち』

公開日 2022/06/06 19:00

変更日 2024/06/20 19:11

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ホン・サンス監督の『気まぐれな唇』、イ・ビョンホンさん、チェ・ジウさんと共演した『誰にでも秘密がある』等の映画や、ドラマ「シティーホール」等に出演したチュ・サンミさんは監督としても活躍しています。今回紹介する作品は、韓国でもあまり知られていない重要な歴史の闇に光を当てたドキュメンタリー映画です。

 

 
サンミさんは当初、劇映画の準備をしていた際、出演者のオーディションを開催したのですが、そこにはたくさんの脱北者の若者たちが参加していました。その中の一人に、イ・ソンさんという女性がいました。彼女は、北朝鮮から中国を経て韓国へ逃れてきたのですが、最愛の弟を北朝鮮に置いてきたことをずっと気にしていました。サンミさんはソンさんと話をするうちに、彼女に心を開いてもらいたいという想いが強くなり、彼女にポーランド取材に同行するように誘います。
 
 

©2016. The Children Gone To Poland.

チュ・サンミ(右)、イ・ソン

 
 
北朝鮮からポーランドに送られた戦災孤児たちは、数年間ポーランドで過ごした後、再び北朝鮮に戻されました。ポーランドの教師たちにとっては、世話をして我が子のように感じた子供たちと生き別れになったようなもので、北朝鮮出身のソンさんと会った教師たちは、子どもたちとの思い出がよみがえったような想いを抱いたのでしょうか、涙を流してソンさんを抱きしめており、見ていて胸が熱くなりました。
 
 

©2016. The Children Gone To Poland.

 
 

©2016. The Children Gone To Poland.

 
 
ソンさんは、旅を通して徐々に監督であるサンミさんと親しくなっていきますが、積極的に自分自身のことを語ろうとはしません。脱北の苦労や家族への想いは語っても、中国で何があったのかは話したくないというソンさん。壮絶な体験があったのだと推察されます…。
 
 

©2016. The Children Gone To Poland.

 
 
本作でサンミさんは、ポーランドで北朝鮮の子どもたちがどのような生活を送ったのかを丁寧に取材すると共に、ソンさんをはじめとする脱北者の若者たちの姿を描出していきます。
それは、サンミさんが観客に「傷の連帯」を感じてもらいたいからなのです。
 
 

ドキュメンタリー 韓国映画

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