COLUMN コラム

東京国際映画祭上映の激推し3作品をご紹介!

公開日 2020/11/16 15:32

変更日 2024/06/20 19:59

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今年はコロナのなか、開催が危ぶまれながら幕を開けた第33回東京国際映画祭でしたが、10月31日から10日間の開催期間中、183本の世界各国の作品が上映され、国内からのゲストを中心に劇場での舞台挨拶や観客とのQ&Aなどをオンラインで実施する初の試みで注目を集めました。

「TOKYOプレミア2020」部門の上映作品を対象とした観客賞/東京都知事賞は、大九明子監督の『私をくいとめて』が受賞。芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を映画化。のんと林遣都の初共演で、おひとりさま生活を満喫する女性と年下男子の不器用な恋の行方を描き出し、多数の観客の共感を得ました。

そのなかで、今回、「ワールド・フォーカス」「台湾ルネッサンス2020」部門で、とりわけ斬新で高評価で印象に残ったイラン映画『悪は存在せず』 台湾映画『愛で家族に〜同性婚への道のり』 『足を探して』の3作をご紹介します。

◇ストーリー
良き夫、良き父であるヘシュマットは毎朝早く出勤するが、どこで働いているのだろうのだろう。プーヤは殺人など想像もできないが、人を殺していると言われている。ジャヴァットは恋人の誕生日にプロポーズしようとしている。パーラムは医師だ開業できない理由がある…。イランにおける死刑制度における4つのエピソードからなるオムニバス作品である。穏やかな日常とドラマチックな展開の対比から、人間の尊厳についての鋭い問いが放たれる。2020年・第70回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金熊賞を受賞したが、モハマッド・ラスロフ監督は、反政府的な映画を作ったとして2017年に旅券を没収され、現在は行動制限されるているためベルリンに行けず娘が代理で授賞式に出席して話題となった。
(オフィシャル・プログラム 作品解説より)

モハマッド・ラスロフ監督は1972年イラン生まれ。これまで数々の映画賞を獲得。2011年『Goodbye』がカンヌ映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞。2017年にも『A Man of Integrity』で同賞を受賞している鬼才です。

今回、観たなかでいちばん衝撃的だったのが本作。
イランの死刑制度にまつわる4つのエピソードのなかで、ごく普通の夫、父親がたんたんと死刑を執行する姿です。

妻と銀行の支払いのことで口論し、娘を学校に迎えに行き、老いた母親の家を訪問する、そして職場に着いたら、たぶん毎日の習慣なのでしょう、お茶を入れて飲む。

そんな当たり前の暮らしと死刑執行人の仕事を両立させているのです。きっと最初は激しい葛藤があったかもしれませんが、感情を押し殺しているうちに何も感じないようになったに違いありません。

さらに、本作で驚いたことが、イランの兵役制度。
2年の兵役を終えるまで車の免許もパスポートも取れないという縛りがあり、刑務所に配属され死刑執行人の任務に就くこともあるというのが驚愕!専用のボタンを押し、絞首刑になる死刑因の踏み台を外したら、3日間の休暇のご褒美がついてくるのですが…。

日本の場合、同じ形のボタンが5つあり、5人の係が一斉にそのボタンを押すことで、誰のボタンが絞首台につながっているのか分からない仕組みにしてあるそうですが、そんな配慮はないイラン。どうしてもできないと苦悩した兵士がとった手段にハラハラさせられます。

重く深いテーマですが、ある種サスペンス、ミステリーの要素があり、時間の経つのを忘れる秀作です。

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