COLUMN コラム

済州(チェジュ)島の闇と在日コリアンの母娘の絆を描く珠玉のドキュメンタリー『スープとイデオロギー』

公開日 2022/05/30 15:00

変更日 2024/06/20 20:02

#

人気ドラマ『愛の不時着』のロケ地でもある韓国の人気リゾート地、済州島。その歴史の闇と在日コリアンの母娘の絆を描く珠玉のドキュメンタリー『スープとイデオロギー』(6月11日公開)をご紹介します。

オモニ(母)は、1931年に大阪で生まれ育ちますが、1945年大阪に対する連合軍の空襲から逃れるため済州島へ疎開。その頃、日本の植民地から独立した朝鮮には、北に旧ソ連、南にアメリカが入り、政治状況は複雑混迷を極めていました。

分断を決定的にしてしまう韓国での単独選挙に反対した民間人たちを「共産主義者」と見なし、家族までも惨殺し、家をも焼くという虐殺事件が済州島では繰り広げられたのです。

1948年4月、18歳になったオモニは「済州島 四・三事件」を目撃。単独選挙に反対した婚約者は帰らぬ人となりました。オモニは死体の山や真っ赤な血に染まった川の地獄絵図を見ながら、幼い妹と弟を連れて、命からがら漁船に乗り済州島を脱出し、故郷・大阪へと辿り着いたのです。

このオモニの過去がアニメーションで表現されているため惨劇のショック度が和らげられています。もし、リアルな写真や映像だったら目を背けたくなったはず。

オモニはアポジと結婚後、韓国政府を徹底的に否定し、「帰国事業」という名の政策のもと地上の楽園と謳われた北朝鮮へと監督の3人の兄を送り出し、将軍さまから勲章を授与されるほど忠誠を誓い貢献したのです。
でも、結局、息子たちは人質のような存在で北に献金し、仕送りする生活が延々と続きます。
この経緯は、前2作のドキュメンタリーをぜひご覧ください。
ところが、優秀で音楽を愛していた長男は双極性障害で他界。

2017年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の誕生で、「朝鮮籍」の在日コリアンの訪韓が認められ、「四・三事件」から70周年を迎える2018年4月、オモニは70年ぶりに監督と一緒に済州島を訪れます。
そこには石碑に何万と刻まれた犠牲者の名前が…。

大阪 日本 歴史 済州島 観光

この記事を気に入ったらシェア!

この記事について報告する

  • 韓国大好き連載コーナー
  • vote
  • 中国ドラマ特集
  • K-POPニュース

WRITER INFOライター情報

ライターK

韓国情報を発信していきます★