COLUMN コラム

赤ちゃんを売る旅からそれぞれの切ない人生と希望が見えてくる韓国映画『ベイビー・ブローカー』

公開日 2022/06/09 15:00

変更日 2024/08/29 10:43

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『万引き家族』(18)でカンヌを制した是枝裕和監督が韓国俳優と強力タッグ。本作でソン・ガンホが見事、第75回カンヌ映画祭で韓国人初の主演男優賞を受賞、また作品自体も「エキュメニカル審査員賞」受賞を果たした『ベイビー・ブローカー』(6月24日公開)をご紹介します。

 『ベイビー・ブローカー』も同じ系統のキャラクターです。恵まれない家庭で育ち両親とは不仲で家出しシングルマザーとなったソヨン役。生活に行き詰まり息子を赤ちゃんポストの前に置き去りにするのですが、翌日、迎えに行き、息子を連れ去ったサンヒョンとドンスに出会い、ひょんなことからよりよい条件の養父母を一緒に探さがすことになるのです。

© 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

それにしても、赤ちゃん売買の相場に驚きました。男子は1000万ウォン、女子は800万ウォンとは安すぎる!なかには、そこから値引き交渉したり、分割で払いたいという買い手までいて苦笑しきりでした。

K-POPのミューズが母親役にハマるのかという心配は一瞬で消え去り、ある理由から息子のために自分との縁を断ち切るしかない。追い詰められて捨て鉢になりながらも息子には愛しい眼差しを向けるジウンの演技に、個人的には主演女優賞をあげたいぐらい心を動かされました。

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是枝監督もカンヌ映画祭でのインタビューでジウンについて、 「女優として非常に勘がいい。ニュアンスをキャッチするのが速くて、僕が若干違和感を感じた時『これはこういう風にして』と演出のディレクションをした後から出てくる演技を見ると、本当に正解で完璧だった。その答えを見つける速度も非常に速かった」と演技力を高く評価しているのです。

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