公開日 2021/08/31 22:53
変更日 2024/06/20 14:33
(C)カンテレ
今年7月期火曜ドラマとしてフジテレビ系で現在放送中の『彼女はキレイだった』。2015年の大ヒット韓国ドラマのリメイク作品である本作は、メロドラマ的要素が強い韓国版とは一味違う日本らしいラブコメ路線が瑞々しい印象を与える。オリジナル韓国版と比較していきながら、日本版の面白さを紹介する。
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日本版と韓国版とのストーリーは基本的に大きな変更点はない。ただ、冴えない女子とSっ気のある男子がひょんなことから恋愛関係になっていくという王道的なラブコメ路線を走る日本版に対して、『冬のソナタ』(2002)の大ヒットに代表される韓国版の「メロドラマ」的演出が際立つところはある。ルノワールの絵画『田舎のダンス』のジグソーパズルの一片をヘジンとの大切な思い出として今でも持っているエピソードがドラマ全体をロマンティックに演出しており、メロドラマの大切な要素としてうまく機能している。
ニューヨークから戻ったソンジュンと彼が昔と変わらずに美しいヘジンのままだと思っているハリとの食事を終えて、イギリス留学に旅立つという彼女に粋なプレゼントをし、そっと抱き合う瞬間にあたりの噴水がさっと吹き出して雰囲気を盛り上げる場面など、現実離れしたやり過ぎ感があるが、それが韓国のメロドラマの振り切った潔さなのだ。それに比べると、日本のラブコメ作品は、非日常に振り切り過ぎることを回避するために現実的なシチュエーションを加えるなどおっかなびっくりの印象がある。同じラブロマンスを描いても今、韓国と日本では描き方と表現性に大分大きな差があることを『彼女はキレイだった』からは改めて気づかされた。