公開日 2021/09/17 19:15
変更日 2024/06/20 19:09
コピーライト:COMPANY ON
映画『建築学概論』やドラマ「シグナル」などで大人気の俳優イ・ジェフンさん。彼が10年前に主演した独立系映画『BLEAK NIGHT 番人』は韓国で高い評価を受けましたが日本未公開でした。この度、動画配信サービス「WATCHA」で初公開されたのを記念し、イ・ジェフンさんにオンラインでインタビューしました!
――ギテがどのように亡くなったのかは詳しく描かれておらず、友達の話や父親の様子、回想シーンから想像させる描き方となっています。本作を客観的に観た時、この映画の魅力はどんな点だと思いますか?
◆通常は、加害者と被害者がいた場合、苦痛を感じて悲劇的な選択をしてしまうのは、被害者であるケースが多いと思います。でも、この映画では加害者がその選択をしてしまうんですね。それが本作の特別なポイントではないでしょうか。おっしゃる通り、ギテの死に関する具体的な描写はないので、観客は想像しながら、この映画にさらに関心を寄せるようになると思いますし、「なぜ加害者がこのような選択をしてしまったのだろうか?」といった謎解きのような部分も、本作の魅力の一つだと思います。
ストーリーが進むうちに、悲劇的な選択をしてしまったことの裏付けとして、ギテ、ドンユン、ヒジュンの3人の関係性といったものが、どのように形成されていたのかが紐解かれていきますが、こういった描き方が、本作が特別である理由なんじゃないかなと思います。
ヒジュン役 パク・ジョンミン
――ギテはとても複雑なキャラクターですが、演じた時、どんな工夫をしましたか?
◆ギテを演じた時の僕の年齢は、27歳から28歳にかけてでした。もう大人になっていましたが、制服を着て高校生を演じました。「自分が高校生の時はどうだったかな」と思い浮かべながら演じようと、一生懸命努力をしたのを覚えています。高校生というと、友達にいたずらしたり、注目を集めたいと思ったり、仲間のリーダーになろうとしたりなど、ちょっと幼稚なところがありますよね。そんな高校生のギテを、27~28歳の私が制服を着たところで巧く演じることができるのだろうかと心配になりました。共演者たちとも初対面だったので、仲の良い親友同士の役を巧く演じられるだろうかということも心配でした。
ギテ
◆そういった心配を解消してくれたのが、ユン監督でした。監督は、撮影に入る前にしょっちゅう出演者たちを集めて、色々な話を聞かせてくれたんです。一緒に映画を観たりとか、みんなが親密になる時間を監督が作ってくれたので、ギテというキャラクターが僕の中に段々と溶け込んでいきました。共演者3人で過ごしたほぼ2カ月間は、合宿とまではいきませんでしたが、とても濃密な時間でした。先輩・後輩という形ではなく、お互いタメ口で、完全に壁のない友達として過ごしたことで、それぞれの人物になり切ることができる、非常に貴重な時間になったと思います。
また、当時は若かったので、人生経験が不足している中で他人を演じることに不安がありました。ところが、その不安や、自分に自信が持てないことが、ギテを演じるにはむしろ役立って、良い方向でキャラクターに投影されました。今はキャリアも積みましたので、どの作品に臨むにあたっても、確信を持って役を演じることができていますが、確信を持ち過ぎるのもいかがなものかと思い、昔の純粋さが失われつつあることに反省することもあります(笑)。