COLUMN コラム

東京国際映画祭でツァイ・ミンリャン、深田晃司、世界が注目する両監督の初対談が実現!

公開日 2022/11/09 17:00

変更日 2024/06/20 20:03

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第35回東京国際映画祭と国際交流基金による共同トークイベント「交流ラウンジ」が10月29日に開催され、深田晃司監督と台湾のツァイ・ミンリャン監督が対談。互いの作品や、日台の映画事情についての熱いトークを取材しました。

ツァイ「私の映画はとても沈黙が多いのです。登場人物が孤独で寡黙だからです。私が映画に求めているのが感受性。この感覚がどのように観客に伝わるのか、本当にこういう人がいると思ってもらえるような人物造形です。また、作品のなかに音楽が少ないのは登場人物の心情を過度に表現するのを恐れているからです。ですから、私は自分はリアリズム作家だと思っています。特に深田監督の『淵に立つ』は、登場人物が本当にリアルな人達のように感じました。夫婦関係や家庭状況を描くための食卓の動きやしゃべり方など非常にリアルなものでした。特に食事の場面で、その食べ方が人物を表現するのに重要です。浅野(忠信)さんが現れてから、雰囲気が一変します。それがすごくうまい。一気に物語に引き込まれて、心に響いた作品です」

深田「嬉しくて言葉が出ません。その人物のリアリティについては私ひとりの力ではなく、俳優と一緒に作り上げたものです。監督のイメージを押し付けるのではなく、俳優が作っていく。私は観客のために演じるのではなく、共演者と日常のように向き合ってほしいとお願いしています」

ツァイ「私が大事にしているのは、人物が演じている空間です。その雰囲気を役者に提供してあげることが重要です。私の映画はセリフに頼って物語を進行していく作品ではありませんから、役者は空間と向き合ってどう演じるかが一番重要です。映画製作でいちばん難しいのが俳優にどう演じてもらうかということ。深田さんはそのバランスをうまく心得ている。それは『ほとりの朔子』を見ても思いました」

[c] 2022 TIFF

ここから日台の映画界やマーケットについての話題に移行しました。

ツァイ「ホウ・シャオシェン監督、エドワード・ヤン監督らが世界に大きな影響を与えた時代とは変わってきており、最近の台湾映画は商業的なジャンル映画に偏ってきて、マーケット的には賑わいは見せていますが、以前のような輝きは失われていると感じます。しかし、日本は深田監督や濱口竜介監督のよう優れた監督が出てきて、非常に嬉しく思っています。日本は昔から黒澤明監督や小津安二郎監督、小林大樹監督に溝口健二監督、そして大島渚監督と世界を驚かせるような素晴らしい監督を出てくる映画強国。今も変わらずそうだと思います」

深田「今、日本の若手監督たちは経済的に厳しい状況に置かれているので、映画強国かと言うと難しいところがあります。ただホウ・シャオシェン監督やエドワード・ヤン監督の作品を1990年代以降、観られる環境が整っていたので、おそらく強い影響受けて今の日本の映画がある。台湾と日本がお互い影響与えながら歩んでいるように感じています」

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