公開日 2021/08/29 13:00
変更日 2024/06/21 10:12
向かい合う青と赤の炎の背景画像 4404
現在、ハリウッド進出作「Tsunami LA」や是枝監督作「ブローカー(仮)」への出演が決まり、さらなる活躍を見せる人気俳優チャン・ドンゴン。今回は、そんな彼が出演している映画「1987、ある闘いの真実」を紹介します。
1987年の韓国では「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を続ける一方で、全斗煥大統領が“北朝鮮の脅威”を言い立てて強圧な軍事独裁体制を敷き、言論の自由を封じていました。
それに抗議した者は北の息がかかった者だとして拘束され、南営洞警察で人権を無視した非道な拷問を受けていました。
本作では、そんな中で起きたソウル大生の拷問死の真実を明らかにし、当時の政権の実態を明らかにしようと立ち上がった人々の姿が描かれています。
本作で印象的なのは、誰かひとりをヒーローに仕立て上げた物語ではないところ。何人もの一般人が勇気を持ち、それぞれのポジションで信念を貫き踏ん張ることで、それが結果として大きな真実を明らかにするところに心奪われました。
誰かひとりの力だけでは足らない。それでも立ち上がることで、大きな力に繋がっていく。そんな「自分も何かを変える力になれるのでは」と勇気をもらえる作品です。
本作の製作は、批判を封じ込めるために強権的な政治手法をとった朴槿恵政権下で行われました。
当時韓国では政権が文化業界を巧みに弾圧しており、チャン・ジュナン監督もそれを肌身に感じていたそう。そのため監督はまるで独裁政権時代に戻ったかのような言論弾圧に歯痒さを感じており、本作の製作を秘密裏に進めたと言います。
そんな中で1番の難関と思われたのが、キャスティングでした。しかし短編「LOVE FOR SALE」以来親交を深めていたカン・ドンウォンが脚本を読み、主要キャストのひとりイ・ハニョル役に立候補。
キム・ユンソクやハ・ジョンウといった名俳優たちもキャスティングに応じてくれ、本作の豪華キャスト集結に繋がっていきました。
まるで本作の内容に繋がるような、俳優たちの勇気を出した出演に胸が熱くさせられます。