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来日スター俳優ディーン・フジオカは怪物を超え始めている…。東京国際映画祭出品作『オラン・イカン』から出発点の香港映画作品まで大喜利解説!

公開日 2024/11/13 11:45

変更日 2024/11/13 11:45

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第37回東京国際映画祭の東京グランプリ作品が吉田大八監督の『敵』に決まった。個人的な注目作をいわせてもらうなら、「ガラ・セレクション」部門作品として上映された『オラン・イカン』である。監督はマイク・ウィルアン。主演は我らがディーン・フジオカ。この未知のタイトル作を引っ提げて、彼は今回の東京国際映画祭に“来日”したのである。レッドカーペット上でも“大喜利”的なコメントが話題だった。未見の『オラン・イカン』から出発点となった香港映画まで、来日スター俳優ディーン・フジオカについて、イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が大喜利解説する。

出発点となった香港映画

あぁ、そうだ、華麗という形容詞を口にして気づくことがある。その形容詞をサブタイトルにもつ主演ドラマ『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ 2018年、以下、『モンテ・クリスト伯』)が、ついに、ついに、ついに(!)、サブスクリプション解禁。FODで配信が開始されたのである。欣喜雀躍。雀の小躍り気分で、ぼくは配信日にドラマを見返していった。面白い。面白過ぎるぞ、これは。やっぱりこれまた、こりゃイカン……。芸もなく繰り返せばこれはもはやダジャレである(ごめんなさい、ディーンさん)。

『モンテ・クリスト伯』は、主人公・柴門暖(ディーン・フジオカ)が親友の裏切りによって逮捕されたあげく、異国の独裁国家の要塞監獄に収監され、そこから膨大な労力をかけて脱獄。柴門暖改め、新々投資家の大富豪であるモンテ・クリスト・真海として日本に舞い戻る復讐劇である。でも単なる復讐劇という物語ジャンルにまとめてしまっては、もったいない。これは、ディーン・フジオカ的な記号の宝庫なのだから。

第1話、暖が幸せの絶頂、目黒すみれ(山本美月)との結婚式場面。新婦の着替え部屋前の暖が、緊張を隠せずに手にもつ扇を広げて、パタパタパタパタ。一呼吸置いて、ひたすらパタパタパタパタパタパタする。部屋に入りウェディングドレス姿のすみれを見た暖は「万歳!」と叫ぶ。パタパタから万歳までの恐るべき一人相撲の空気感、温度感はディーン固有のもの。

あるいは第2話、脱獄して故郷の港町に戻ったホームレス姿の暖が味噌汁をふうふうする場面がある。このホームレス姿は、山下智久主演ドラマ『正直不動産スペシャル』(NHK総合、2024年)ラストに、ふうふうの呼吸感は、『正直不動産2』でディーンが演じる神木涼真が乱舞するタップダンスのタタッという音の響きにまで生かされていると思う。あるいは、『モンテ・クリスト伯』で暖を逮捕した張本人を演じ、『正直不動産スペシャル』ではホームレス姿の神木に手を差し伸べる悪徳不動産屋の社長を同じ高橋克典が演じている。ディーンさんの出演作はこうしてすべてが類似と連想によってつながり、連動している。だからこそ今改めて、俳優デビュー作であり、出発点となった香港映画『八月的故事』(2006年、邦題:『八月の物語』)を含めてきちんと見直す必要がありはしないか。「やはりこの世界には未確認生物がいると確信し始めてます」とディーンさんがいうのなら、過去作を新たに見直して見えてくるディーン・フジオカ像は、『オラン・イカン』の怪物を超える未知のスター性をたたえ始めている。

     

FODで『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』を観る

    

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加賀谷健