公開日 2025/03/30 15:00
変更日 2025/03/30 15:00
BUSAN, SOUTH KOREA - OCTOBER 03: Kentaro Sakaguchi attends the screening and Q&A for "Beyond Goodbye" during the 29th Busan International Film Festival at Busan Cinema Center on October 03, 2024 in Busan, South Korea. (Photo by Woohae Cho/Getty Images)
たまに坂口健太郎のことで頭がいっぱいになることがある。ひたすら坂口健太郎の美しさが美しさで上書き保存される主演映画や韓国配信作品など、コラムニスト・加賀谷健が独自視点で解説する。
その朝食場面では、少女が差し出したパンに対して不意に上手からフレームインした坂口がそれをハムッとする瞬間がある。この横顔のフレームインはもう何と形容したらよいのやら。どんな美しさもひれ伏す途方もなさがある。というように、同作の坂口健太郎が好き過ぎるぼくは、彼についてコラムを書くときは、どの媒体でも飽きずに上述した場面の美しさを馬鹿の一つ覚えで唱える。この間、ある媒体で市川実日子についてコラムを書いたときにも、同作で坂口の相手役だったことにふれたのをいいことにまた唱えた。するとある読者からは「ほんとうに好きですね」と指摘されて恥ずかしくなった。
でもほんとうに好きなのである。だからもう少し唱えさせてもらうと、そもそも冒頭場面からすでに美しさは極まる。何てことはない。バス車内に座る坂口が揺られているだけ。フェードインからワンショット目が横顔。2カット目が正面に対してズームバック。その顔がもうね、美の一極集中、一点透視、一本締め(?)。あぁ、そうだ、これも忘れるところだった。と、再び慌てて思い出すのが、今さら感はあるものの、イ・セヨンと共演した韓国配信作品『愛のあとにくるもの』(Coupang Play、2024年)である。今日はこの話題をメインにするはずだったのにまったく……。
『愛のあとにくるもの』は、イ・セヨン演じるチェ・ホンが、韓国から日本に移り住んでくるところから始まる。吉祥寺を目指して京王線沿線の街に降りるが、改札で大荷物がつっかえる。そこでさらりと助っ人に入るのが、坂口演じる大学生・青木潤吾。ベタベタな発端描写。最初は例にもれず後ろ姿、次に手元、(毛先なめショットを挟み)さらに正面と3ショットで坂口の初登場が積み上がる。物語自体が動くためにはあとは再会するだけ。ホンがバスを待っているところへ潤吾が乗ったバスが横切る。きたきたバス。『サイド バイ サイド』冒頭2カットとよく似た構図で坂口の横顔と正面がさらりと捉えられる完璧さ。同じラーメン屋にたまたま同時にアルバイト募集にやってきたホンと潤吾が鉢合わせる場面が再会の瞬間として用意される。ほとんどカメラ目線で描かれる坂口の切り返しショットが微妙な表情の変化で描かれる。発端から再会までの着実な段階、再会場面を印象付けるスリーショット(3カット目の照れ笑い!)。三段法的に魅せる坂口健太郎を堪能できる完璧な韓国作品である。
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コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修。 クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションで、企画・プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメン研究」をテーマに、“イケメン・サーチャー”として、コラムを執筆。 女子SPA!「私的イケメン俳優を求めて」連載、リアルサウンド等に寄稿の他、CMやイベント、映画のクラシック音楽監修、解説番組出演、映像制作、 テレビドラマ脚本のプロットライターなど。2025年から、アジア映画の配給と宣伝プロデュースを手がけている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。