Kboardライター このレビューはネタバレを含みます。

ビニールハウスに暮らすムンジョン（キム・ソヒョン）。盲目の老人と認知症の妻の訪問介護士として働きながら、息子と一緒に暮らすことを夢見ています。貧困、孤独、介護といった現代社会の問題が描かれているのですが、その展開が衝撃。介護中に認知症のファオクが暴れて、もみ合ううちにファオクが死んでしまいます。隠蔽を決心したムンジョンですが、夫の老人が盲目なのをいいことに自分のお母さんをファオクとしてすり替えるんです！そこからの負のスパイラルが巻き起こす、悲劇の連鎖がすごい。ラストの展開は衝撃的すぎて言葉を失いました…。たしかにムンジョンの置かれていた環境は一定の同情の余地はある。だけど、人として真っ当に生きないとだめだと、戒めを教えてくれるような作品。人として真っ当に生きることに社会的勝者・弱者は関係ないと思いました。どこか『パラサイト』を彷彿させる作品ですが、『パラサイト』よりもリアルな展開だからこそ、衝撃が大きい作品でした。

このレビューはネタバレを含みます。

ビニールハウスで暮らす貧しい女性が主人公のヒューマンドラマ。でもこの主人公、最初からそこまで底辺の暮らしをしているわけではないんです。ビニールハウスとはいえ、中はちゃんとお家みたいになっているし、裕福な老人夫婦の介護という仕事もあるし。ただ、1つ1つの誤った選択がどんどん悪い方向へとつながってしまうんです。この負の流れがなんともいえない恐ろしさを感じました。正直、暗い雰囲気だし鬱々とした内容なので、好きじゃない人は好きじゃないと思います。ただ、最後の負のループの到達点ともいえる最悪のバッドエンドは、予想もできず頭を殴られたような衝撃を感じました。言葉を失うってまさにこういうことなんだろうなと。貧困がもたらす負のループ、なんともいえない嫌悪感を感じつつも面白さも感じてしまいました。