SEVENTEEN『NANA TOUR』はイタリア旅行記の決定版。平和を象徴する古代ローマ巡礼で“黄金グループ”に

令和の決定版イタリア旅行記

　いきなりだけれど、クエスチョン。『日経エンタテインメント！』発表の国内アーティスト「動員力ランキング」2023年の第1位は？　はい、ぼくにとっては箱推しであり、同時にメンバー7人全員推しでもある三代目 J SOUL BROTHERS（以下、『三代目JSB』）が、アリーナツアーとドームツアーを立て続けに開催したことで90万人以上を動員しぶっちぎり。3位はB’zで、2位がSEVENTEEN。ちなみに4位にユーミンこと松任谷由実が続く事実も驚きではある。

　というわけで、同ランキング結果で三代目JSBの次点にSEVENTEENがランクインしていたのを見て、恥ずかしながら彼らの存在感を決定的に意識するようになった。あらかじめ断わっておくと、三代目JSBを箱推しするほどには、SEVENTEENについての知識量はあまりに乏しく、メンバー13人の同グループを箱推しするまでには、そうだな、もっと時間と根気強さが必要になりそう。その上でどうしてか、彼らについて語らなければ気がすまないのをどうかご容赦願いたい。

　ともあれ同ランキングをきっかにSEVENTEENについて考え始めたぼくがひとまず足がかりにしたのは、『NANA TOUR with SEVENTEEN』（以下、『NANA TOUR』）と題されたイタリア旅行記。『三大陸周遊記』で知られるイブン・バットゥータなど、古くから優れた旅行家が名旅行記を残しているけれど、『NANA TOUR』は間違いなく令和の決定版になると思う。彼らがまず訪れたのが、言わずと知れたローマの観光名所コロッセオだったことは、幸先よい古からの洗礼と歓迎を意味するだろう。この円形闘技場でグラディエーターたちが繰り広げた死闘は、古代ローマ人にとって最大のエンターテインメントだったわけで、今や世界有数の人気を誇るエンターテインメントグループであり、同時にエンタメ世界市場でしのぎを削るSEVENTEENが、コロッセオを最初に訪ねるのは、巡礼的なダブルミーニングだといえるからだ。