COLUMN コラム

映画『ハッピー・オールド・イヤー』は断捨離→共感度大のヒューマンドラマ!

公開日 2020/11/11 15:23

変更日 2024/06/20 19:59

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このところBLドラマ人気が日本で沸騰中のタイですが、映画界で注目を集める気鋭の監督ナワポン・タムロンラタナリットが手掛けた、断捨離をテーマにした話題作がこちらです。

ミニマリズムをテーマにした作品といえば、全所持品の中から必要なモノを1日1つずつ取り戻していく『365日のシンプルライフ』や、ミニマリズムの提唱者の『ミニマリズム:本当に大切なもの』などドキュメンタリー映画がよく知られています。

本作を観る前は、フィクションですが断捨離がテーマだし、ミニマリズムを実践する過程を描く作品だと思っていたのですが、いい意味で鮮やかに期待を裏切られました。

映画のオープニング、真っ白な部屋でインタビューを受ける主人公ジーンが捨てるコツを聞かれるシーンから始まります。しかし、このすっきり美しい部屋を手に入れるためには、これまで見ないふりをしてきた自分の過去や感情に向き合う長い葛藤の時間があったのです。

かつて父親が営んでいた音楽教室兼自宅には、いたるところにモノが溢れていたのです。留学先のスウェーデンでミニマリズムの洗礼を受け、また、近藤麻理恵の世界的ベストセラー『人生がときめく片付けの魔法』に影響を受けたジーン。最初はゴミ袋を大量に買い、「ゴミ袋はブラックホール」とどんどんモノを放り込んでいきます。

捨て方のルールに従い、「感情に溺れるな」「迷うな、人の気持ちを考えるな」とゴミ袋の山をどんどん積み上げ、業者に200バーツ(約700円)で引き取ってもらうのですが、結局、罪悪感にかられゴミ袋を取り戻すことに。

そして、ゴミのなかから、友人に借りたままになっていたいくつかモノのを発掘し、返しに行くことにします。友だちに借りていたレコード、ピアス、楽器、元彼のカメラ。そこから、ストーリーは過去と向き合うことへとシフト。

いちばんの難関は元彼のモノでした。直接、会うのが嫌で近所なのに郵送したら受取り拒否をくらい、家を尋ねたら、そこには新しい彼女がジーンが置いてきたTシャツを着て迎えてくれ動揺してしまう…。元彼、ジーン、新しい彼女の三角関係の心の揺らぎも丁寧に描かれます。

また、自宅の部屋を占領するピアノは、家族を捨てて出て行った父親のもの。母親は怒り狂い処分するのを大反対します。父親に電話したジーンは悲しい現実を知ることに…。

過去や情に縛られて、モノを処分できなくなったジーンが、最終的にモノとの関係を断つためにある手段を使うのですが、それは観てのお楽しみ!

「ミニマムは仏教に通じる。生活の質も上がる」というミニマリズムを愛するデザイナーが、断捨離して自宅を美しくリノベーションする映画かと思いきや、捨てる物を通じて過去の思い出とどう向き合うのかを突きつけるヒューマンドラマなのです。

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