公開日 2021/09/21 17:10
変更日 2024/06/20 19:09
©2020 SS Animent Inc. & Studio Animal &SBA. All rights reserved.
韓国で大ヒットし、日本では「LINEマンガ」で独占配信中のオムニバス作品『奇々怪々』内の「整形水」がアニメ映画化されました。顔を浸せば思い通りの容姿に変えられる“奇跡の水”を巡り、主人公が直面する闇を描く本作のチョ・ギョンフン監督にオンラインインタビューし、この映画を通して伝えたいことなどを伺いました。
――整形水を使うことで別人のように美しくなれますが、使い方によって恐ろしい副作用を招きます。本作から、整形水の恐怖を感じつつ、ありのままの自分を認めることや、内面の美しさを磨くことが大事だというメッセージも受け取ったのですが、監督が本作に込めたメッセージとは?
◆全ての作品に言えることなんですが、監督が映画を作りますけれども、自分の手から離れて、上映された後の判断は観客に委ねたいと思っています。なので、ディテールについてはあまりお話しできませんが、もちろんおっしゃってくださったように、外見至上主義に対する批判や、自分を愛そうというメッセージが込められていたのは確かです。でも、それだけを伝えようと思ったわけではなかったんですね。それらのメッセージというのはあくまで過程にあるもので、私が根本的に伝えたいメッセージは、人間が持っている美に対する認識というのは本当に正しいのだろうか、という問いかけです。美に対する基準というものを、もう一度客観的に見直してみたらどうだろうか。今、私たちが持っている美の基準を疑ってみる必要があるのではないか。それが、私の伝えたいことです。
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――整形水を使ったことでイェジは自信を持つことができました。監督は、自分に自信が持てない人に何かアドバイスをするとしたら、どんなことをするべきだと伝えますか?
◆個人的には、私が誰かに生半可な気持ちでアドバイスをしてはいけないと思っているんです。恐らくアドバイスを求めている人というのは、つらい環境にある人だと思います。そうなると、私はその相手のことをあまりよく知らないのに、自分の基準で判断していいのだろうか、自分の基準を押し付けることで何か問題になるのではないかと、どうしても思ってしまいます。実は『整形水』の中でも、それに近いことを伝えています。
なので、アドバイスというよりも、1つの意見として聞いていただければと思うのですが、私がお伝えしたいのは、私たちが生きている社会の中で、他者を理解したり、配慮したり、認めたりできるような環境を作る努力をすることが必要なのではないかということです。決して簡単なことではないですが、そうすることで何かが変わってくると思います。
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