公開日 2024/10/18 12:00
変更日 2024/10/18 12:00
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韓国を代表する俳優で、ハリウッドでもリメイクされた世界的大ヒット映画『オールド・ボーイ』の主演で知られるチェ・ミンシクさんが来日! 最新作『破墓/パミョ』の日本公開を目前に、K-boardのインタビューに応じてくれました。最近では主演ドラマ『カジノ』にも注目が集まる彼が『破墓/パミョ』で演じたのは、主人公の風水師サンドク役。韓国で7週連続1位を記録し、2024年No.1大ヒットとなった本作の魅力や、撮影裏話、俳優という仕事への想いなど、たっぷりとお話を伺いました。
インタビュールームに現れるなり、「こんにちは、よろしくお願いします」と流暢な日本語で挨拶してくれたチェ・ミンシクさん。一気に和やかな雰囲気になりました!
――『破墓/パミョ』は、東洋の巫俗信仰を扱った、斬新な内容のサスペンス・スリラー映画ですが、出演したいと思った一番の決め手は何でしたか?
「やはり、チャン・ジェヒョン監督の存在が一番大きな理由でした。もともと、私は怖がりなので、怖い映画は苦手なんですが、チャン監督がこれまで撮った『サバハ』や『プリースト 悪魔を葬る者』は映画的な完成度も高く、とても良い作品でした。チャン監督は、魂や宗教といった、現実の中ではなかなか見られないようなもの、非現実的なもの、形而上学(けいじじょうがく)的なものなど、観念的なものをうまくドラマに仕上げて、観客を説得する能力と実力があるんですね。
作品を選ぶ時に、優先順位として一番大事なのは、やっぱり監督の存在です。映画は監督の芸術と言いますよね。俳優がいくらうまくて、素晴らしい演技を見せたとしても、監督がうまく撮ってくれなければ、その作品はだめなものになってしまう。韓国では『船が山に行く』という言い方をするんですが、船は本当だったら海に行くべきなのに、山に行ってしまうというのは、間違った方向に進んでしまうということになるので、監督が良くなければ、その映画は山に行ってしまうんです。映画にとって監督の存在は本当に大切だと常々思っている私は、チャン監督への信頼があったからこそ、本作に出演したいと思いました」
――私も怖い映画は苦手な方なのですが、チャン監督が撮った本作は、とても面白かったです!
「そうでしたか、ありがとうございます!」
――今回、チェ・ミンシクさんが演じたのは風水師のサンドク役ですが、風水師の仕草などをリアルに演じるために、どのようなことを取り入れましたか?
「視線にこだわったり、匂いを嗅ぐ時にレーダーを働かせたりするようにしました。サンドクは山に行って、その山の空気を感じ、さらに山そのものを感じる。そして、山の気からパワーを感じる。そういったところが風水師として大事だと思ったので、山に行って『ヤッホー』と言うような行動を取るのではなく、昆虫の触覚のようにレーダーを働かせて、自然を感じるということを大切だと思いながら演じていました。おでこに『風水師』と書くわけにもいかないし(笑)、一見平凡に見えても、自然と向き合う時には、とても真剣で深みがあるという面を出したいと思いました。
少し大袈裟に表現していたかもしれないですが、劇中、土を舐めたり、土を味わったりするシーンがありましたよね。あのシーンでは、サンドクの専門性を強調しています。土を舐めるというのは、風水師の方でも一般的ではないそうなんですが、土の味を見る人もいるという話を聞いたので、映画の中に取り入れてみました。舐めた時に、良質の土地であれば、かぐわしい匂いや味、お味噌のような感じの香ばしい味がして、反対に悪地であれば、中からムカつくような味がするそうです」
――撮影の時は、本物の土は舐めていないですよね!?
「もちろん。美術チームの小道具の担当の方が、土の代わりにチョコチップクッキーを用意してくれました。美味しかったですよ(笑)」
――それなら良かったです(笑)。アクションシーンで、怪我をすることはなかったですか?
「アクションシーンのある映画に怪我は付き物なので、あばら骨にひびが入ったりしましたが、もう大丈夫です」
――治って良かったですが、大変でしたね……。
「俳優は、状況に最適化できるように、体を張って撮影に臨みます。そういった意味では、完全にアスリートですね」
――普段から鍛えていらっしゃるのですか?
「いやいや、私は3歩以上歩く時は車に乗っちゃいます。彼が運転してくれるので」(マネージャーさんが大笑い)
――巫堂ファリム役のキム・ゴウンさんや、ファリムの弟子・ボンギル役のイ・ドヒョンさんと共演されましたが、若手俳優の2人から何か影響を受けたことはありますか?
「2人とも、全く型にはまっていないというところが良かったです。現場でも、枠にとらわれていない姿が見られたので、とても新鮮な刺激になりました。私たちの時代とはまた違う感じで、表現の仕方も新しいんですよね。私の経歴が長いから、こんなことを言っているのではなく、新しい俳優さんたちと息を合わせるというのは、得るものが多い気がするんです。『自分がこの歳だったら、こういうことはできなかっただろうな』と、すごくうまいと思わされることがあって、本当にたくさんの刺激を受けました。それは、恐らく『シナジー』という言葉で表現できると思います。
あの2人は、俳優としての仕事に対する意識にも、確固たるものがあるんですね。だから、外見だけを綺麗に見せたり、カッコ良く素敵に見せたりという風には全く思わずに、『どうしたらこのキャラクターを正確に表現できるか』といった、映画のためになることを考えている。つまり、仕事と向き合う意識がすごく高いんです。なので、そういう後輩と一緒に仕事をするのは、とても心強かったです。
私が2人にしてあげられたことは全くなくて、私が何も言わなくても、自分たちで、自ら動いてうまくやっていました。スタイルも考え方も違いますが、それは否定的な意味ではなくて、そういった違いも、とても新鮮でした」