1980年5月18日、チョン・ドゥファンによるクーデターとキム・デジュンらの逮捕に抗議するデモが光州市で発生。そんな“光州事件”を取材したいドイツ人記者・ピーター(トーマス・クレッチマン)は、タクシー運転手キム・マンソプ(ソン・ガンホ)に偶然出会う。気乗りしないマンソプだが、「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられ、ピーターを乗せてソウルから光州を目指すことに。しかしその頃、光州では、民主化デモが激化。民主化運動を取り締まろうとする軍人たちが市民たちを厳しく弾圧し、危険地帯となっていた。
COMMENT & REVIEWこの作品の感想・評価(4件)
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ma
韓国で戒厳令が出されたので、関係のある映画を観ようと見始めました。わずか40年くらい前のことなのに、本当にこんな残虐なことが隣の国で起こっていたかと思うと、今の韓国や日本がどれだけ平和なのかということを実感させられました。また、テレビニュースや新聞からしか情報を得られなかった時代に、報道規制がひかれることの恐ろしさも感じました。韓国の民主主義に対する気持ちの強さは昔にこのようなことがあったからなのだと理解ができた気がします。
さとひろろ
韓国映画らしい重厚なテーマで、観終わった後には考えさせられるものがありました。光州事件という暗い歴史を背景に、平凡なタクシー運転手が歴史の渦に巻き込まれていく様は、胸が苦しくなります。光州事件についてはあまり詳しくなかったのですが、この映画をきっかけに調べました。光州事件の背景やなぜ市民がここまで激しく抗議したのか、もう少し映画の中で詳しく描かれていればまた違った見方ができたかもしれません。エンディングは感動的で、リアリティがあってよかったです。
yanyan
1980年の光州事件の実話を基に描いたヒューマンドラマ。民主化運動が進むなか、光州では学生や市民を中心としたデモと軍が銃撃戦を伴う武装闘争へと発展。しかし、報道規制がとられ、光州で何が起きているのか世の中に伝わらない状況。そんな中、ドイツ人記者のピーターは、軍による暴虐を目撃し、その事実を全世界に発信するため撮影記録を持ち帰ることを決意。お金のためだけにピーターを乗せたタクシー運転手のマンソプ(ソン・ガンホ)でしたが、光州の市民やピーターと行動を共にするなかでピーターの使命を運転手としてサポートしていきます。ジャーナリストが命をかけて世界に真実を届けようとした功績の裏で、彼の行動を支えた名もなき英雄であるタクシー運転手にスポットを当てた作品。武装闘争のシーンは、観ていて心が痛くなりますし、交流のあった人々が民主化運動の衝突によって命を落としてしまうのは辛かったです。本当にあった歴史だからこそ、平和とは何かを考えさせられる作品。そして、「真実を知ってもらい、そこから考える」という報道の本来あるべき姿にも心が揺さぶられる映画となっています。そして、韓国がいかに激動の時代を乗り越えてきたのか改めて実感させられる映画。『1987、ある闘いの真実』、時代は少し異なるものの『国際市場で逢いましょう』『マルモイ ことばあつめ』と併せて観てほしい韓国の歴史をテーマとした名作です。
ねね
「1987、ある闘いの真実」を観て、韓国の歴史に興味が深まり視聴。どこかで耳にしたことがあるレベルだった『光州事件」。その事件の裏で起きていた人間ドラマが描かれていて、デモ・抗争シーンは胸が痛むけど、とても面白かったです。ソン・ガンホ演じるタクシー運転手もよかったけれど、実際に韓国で起きていることを世界に伝えようとした外国人記者のジャーナリズム魂に痺れる。自分の使命をなんとしてでも果たそうとするその姿に心揺さぶられました。そして、光州事件という悲劇的な事件を乗り越え、現在の状態まで発展してきた韓国の歴史に、改めて言葉にならない重さを感じた作品です。