啓示
この作品にはとある出来事でアポフェニアになってしまう牧師、虐待を受けた影響で罪を犯した男性、事件で妹を失った女刑事が出てきます。それぞれ見えないなにかに翻弄され、苦しんでいる点は共通しているように思います。自分が生み出した「何か」に飲み込まれてしまうか、抗い打ち勝つか。その決断が、それぞれの未来を大きく分けたのではないでしょうか。個人的に一番感情移入できたのは牧師。彼はアポフェニアと呼ばれる何の意味もない出来事や情報を「神の啓示」として解釈して、行動していく人物です。彼のように大罪を犯すほどではないですが、ちょっといいことが起きると特別に感じてしまう機会は多いのではないでしょうか。だからこそ、他人事ではないように感じました。